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田幸和歌子の「今日も朝ドラ!」

朝ドラ【舞いあがれ!】ぶつかり合う兄妹のリアリティがまるでドキュメンタリー。舞ちゃんの選択と覚悟を応援したい

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田幸和歌子

舞ちゃんはどうなる⁉︎ わくわくしながら朝ドラを見るのが1日の始まりの習慣になっている人、多いですよね。数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。より深く、朝ドラの世界へ!

福原遥がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の第15週「決断の時」では、浩太(高橋克典)という大黒柱を失った岩倉家と株式会社IWAKURAのその後が描かれる。

岩倉家では、心の整理がまだできていないめぐみ(永作博美)に、悠人(横山裕)が工場をどうするのかと聞き、工場を早く売るよう勧める。また、舞(福原)にIWAKURAに投資してほしいと頼まれるが、断ったことで、父と喧嘩別れのまま会えなくなった現実を突きつけられることに。

ただでさえ工場がリーマンショックによる経営危機に瀕するとき、父が突然亡くなり、それでも悲しみに浸る暇もないほどすぐに重大な決断を迫られる状況と、本当はそれどころじゃないのに傷つけあってしまう身内ならではのぶつかり合いのリアリティは、まるでドキュメンタリーのよう。

今週は舞の覚悟のない、他人事のような「手伝う」という言葉の無責任さ、甘さが視聴者の反感を買いまくっていたが、そこは勝手な「近所のおばさん」目線で擁護したい。

何しろ舞はまだ20歳そこそこ。もちろん小学生の頃に熱を出しがちだったり、親の会社の経営が危機になったり、それなりに苦労もしてきているが、それでも公立大に現役で合格できる能力と、中退し、夢に向かって勉強して航空学校に入り、航空会社に内定をもらうことのできた能力と努力できる環境は、比較的恵まれた部類だろう。

素直で優しい子とはいえ、高卒で社会に出た人たちや、幼い頃から父子家庭で仕事が長続きしない父を支え、勉強を頑張って授業料免除で専門学校を出て社会人になった久留美(山下美月)と違い、世間知らずなのは仕方のないこと。親が亡くなり、会社が危機でも、柏木(目黒蓮)が言った「パイロットになるのが親孝行」は一番現実的な答えで、それは決して非難されるような話ではない。

それに、「手伝う」は甘えや覚悟のなさだけでなく、親の仕事を軽く見ていない証でもあるだろう。ここまで親や仲間、学歴に守られ、自分の「努力」でなんとかできていたタイプの20代前半であれば、万能感とは言わないまでも、根拠のない自信に突き動かされ、親が苦労して大きくしてきた工場なのに「自分がなんとかする!(できる)」と言い出し、やってみて現実の厳しさを知るというのも、十分あり得る話だ。

実際、なにわバードマンでは、由良先輩(吉谷彩子)の苦労を見て、十分理解していたものの、「仲間」の思いを知り、自身もその一員という自覚があるからこそ、パイロットに名乗りを挙げ、認められる前から動き出すことのできた舞だ。

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