「老後一番の問題は介護費です」その介護費用、どう捻出する?坂東眞理子さんのすっきり人生相談
仕事、健康、人間関係、親の介護、老後のお金……50代からの人生には不安や迷いがいっぱい。そんな私たちに「ウィメン・ビー・アンビシャス。自分で自分の人生に責任と覚悟をもって生きていこう」とエールを送ってくれる坂東眞理子さんが、皆さんのお悩みに寄り添います。
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PROFILE
坂東眞理子
ばんどう・まりこ●1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事、内閣府初代男女共同参画局長などを務め、退官。現在、昭和女子大学理事長・総長。『女性の品格』『70歳のたしなみ』『幸せな人生のつくり方』など著書多数。
相談
老後資金への不安
定年前に働き方をパートに変えて、今はフルタイムのときより時間に余裕ができました。ですが、その分収入が少ないので、老後資金には不安があり、年金だけでは難しいと思います。夫には65歳まで働いてもらうとして、漠然とした「老後とお金」の不安を解消するために、まずやることは何ですか? (59歳・パートタイム勤務)
老後にいちばんかかるのは「介護費」。 まずは、これを取りおきましょう
老後は住まい、医療、介護の3つが大きな出費だといわれています。住まいは持ち家でなくても、公営や公団など安定的に確保できるような住宅であれば、それでよし。医療費に関しては、今のところ日本の医療保険制度はとてもしっかりしています。「病気になったら保険内診療で」と覚悟しておけば、高額医療費はカバーしてもらえるので、そんなに心配することはありません。
一番の問題は介護費です。日本の介護保険制度は主に、自宅でお世話をしている家族がいて、そのうえでヘルパーさんがサポートする、デイケアセンターでリハビリを受けるケースを想定しています。希望者全員が施設に入居する体制は整っていないのが現状。施設に入居する場合、民間の有料老人ホームでは、たとえば入居一時金だけで3000万円前後、それに加え月々の費用もかかります。
自分や夫が要介護状態になったとき、施設に入居するのか、それとも自宅にずっといるのか。それによって費用を取りおく必要があります。
では、老後の不安を解消するためには、いくらあればいいでしょう?
2019年に財務省の研究会が「老後は公的年金に加え2000万円の貯蓄が必要」と報告して大きな話題になりましたが、2000万円どころか1億円あっても安心とはいえません。円安や物価高など、お金の心配にはキリがありません。つまり老後資金の不安を完全に解消することはできないのです。
だからこそ、一日でも長く働いて収入を得ること、そして要介護期をできるだけ短くするように健康に気をつけることが重要。どうしたら長く働き続けられるか、自立して生活する期間を長くできるか。それを考えて実行することが最大の備えとなります。
「介護費」はひとり500万円以上を 用意しておきたい
最新データでは、月々の介護費は、ひとり当たり平均8.3万円(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)、介護期間は平均5年1カ月で、4年を超えて介護を受けた人も約5割(※)に上る。8.3万円×5年1カ月=506.3万円となり、試算上は、ひとり当たり500万円以上かかるということに。
ゆうゆう世代が要介護になる数十年後には、さらに介護保険料の負担率が上がっている可能性が高いので、余裕をもった額の老後資金を取りおく必要がある。
※生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度より
坂東さんからのお知らせ
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https://univ.swu.ac.jp/cont-ed/
※この記事は「ゆうゆう」2023年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
※この記事は2024年7月30日に文章構成を変更しました。
女性の覚悟
坂東眞理子著
主婦の友社刊
「50代、60代はまだまだ若い。可能性はいくらでもある。けれど責任をもって生きていくという覚悟が必要です」という坂東さんのエールがぎゅっと詰まった一冊。すぐにも実行できる、しなやかに人生を生き抜くための方法やヒントがいっぱいです。
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