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【猫の実話】猫は飼い主のことを観察していると思う。「がんばりすぎなくていい」と気づかせてくれた

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ゆうゆうtime編集部

たとえば、調理中、とらじろうがキッチン台にのってきたとき。危ないので「ダメ、降りて」と私が言う。すると、とらじろうはちゃんと降りてくれるのだ。

遊んでいるときに興奮して私の手をかじったときも、「痛い、やめて」と言えば、ヤバい!という表情をしてすぐにやめる。

私の膝の上で熟睡しているとき、「ちょっとどいて」と起こされても、素直に移動してくれる。実家の猫は勝ち気なお嬢様タイプで、「どいて」とソファから動かそうものならシャーッと怒ったが、とらじろうはそんなことが1回もない。
なんて育てやすい猫なんだ、と感動したものだ。

もうひとつ、とらじろうの猫らしくない点がある。

夫はとらじろうとよくパペットで遊んでいるのだが、そんなときはとらじろうも野生の本能全開。パペットを噛みまくって、獲物を仕留めた気分になっている。

あんまり楽しそうに遊んでいるので私も仲間に入りたくて、そっと近づくと、私に気づいたとらじろうが、気をつけのような姿勢でピッと固まってしまうのだ。そのままパペットをヒラヒラさせても、文鎮のように動かない。

このナゾの行動を夫と推測した結果、とらじろうは私にいちばんなついているので、夫と仲良く遊んでいる姿を私に見られると、「まずい!」と申し訳なく思って固まるのではないか、という結論になった。

まるでご主人さまに忠誠を誓う犬が、ほかの人にシッポを振っているのを見られたかのようなバツの悪い表情。私はまったく気にしていないのに。
我が家ではこれを、「とらじろうの忖度」と呼んでいる。

と、従順さや忖度ぶりなど、とらじろうの〝猫らしくない〟部分ばかりふれてしまったので、「どこがフーテンの寅さん譲りなんだ?」と思われたかもしれない。でも、もちろんとらじろうは、〝猫らしい〟部分もたくさん持っている。

とくに感じるのは、やはり自由な暮らしぶりを見たときだ。好きな時間に好きな場所で寝ている姿、かまってほしいときはそう主張し、ひとりでいたいときはさっさと離れていく。自分の気持ちに素直に生きている様子は、まさに猫だなぁと思うのだ。

腹時計の正確さにも驚かされる。食事時間になると、どんなに熟睡していてもパチッと目を覚まして、「ごはんでしょ?」という顔で近づいてくる。

忙しくて、ごはんの準備を後回しにすると「なんで?」という顔で訴えてきて、鳴いたり甘噛みしたりして、いろいろな手を使うのもおもしろい。

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