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寝る前に【完全なオフモードになる方法】を、禅僧 枡野俊明さんに聞く

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ゆうゆう編集部

悩みを抱えたままでは、なかなか寝つけないものです。しかし、そんな不安はいったん手放して、1日を心地よく終える方法があるんです。生活の中に禅的なものを取り入れて、穏やかに過ごす方法をまとめた、枡野俊明さんの新刊『悩みを手放す21の方法』(主婦の友社)。同書から全4回に分けてご紹介している第2回は、夜の過ごし方です。

第1回はこちら

「悩みを手放す方法」とは? ついてない1日が清々しい1日に。枡野俊明さんに学ぶ

いったん布団に入っても、気になる心配事が頭に浮かび、ぐるぐると頭の中をめぐり、目が冴えてしまったことはありませんか。夜は不安な気持ちが増幅されがちです。
そんなときに手助けになるのが「禅の考え方」だといいます。

「禅では、心を整えて穏やかな状態を保ち、人の言動に惑わされない本来の自分を見つけ出すことを目指しています」

心を整えるためには、行動から入るのがよいとアドバイスされています。
そのひとつが、夜の過ごし方です。
書籍からひもといてみましょう。

プロフィール
枡野俊明(ますの・しゅんみょう)
1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺第18世住職。庭園デザイナー。多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。「禅の庭」を通して国内外から高く評価される。芸術選奨文部大臣新人賞受賞、ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。『禅僧が教える不安に負けない心の整え方』(主婦の友社)など著書多数。

古来、闇は人を不安にさせてきたのです

「夜になると、どうしてあれこれ余計なことを考えてしまうんだろう」「日が暮れると 気持ちも沈みがち」そんなふうに感じる人は少なくないかもしれません。自分や家族の 体調や病気のこと、仕事や人間関係の大小のトラブル、将来への漠然とした不安などが 湧きだしてくるのは、決まって夜なのです。

日中の明るい日ざしのもとでは、多少の問題は見て見ぬふりができるかもしれませんが、夜の闇の中では不安な気持ちは増幅されてしまうもの。それが人間の本能なのではないかと思います。

古くから人は、闇を恐れて生きてきました。闇は人を不安にさせ、その不安があらぬ妄想を生み出します。電気が普及し、夜でも昼間のように明るくなったとはいえ、やはり人間は人間。夜になると気持ちが不安定になるものなのでしょう。

悩みや不安を抱えたままでは、なかなか寝つけないものです。ようやく眠れても、深い睡眠がとれないということもあります。何より、今日という一日を心地よく終えることができません。

考えてみてください。何か問題が起きていたとしても、解決するためには実際に動くしかないのです。夜中にできることなどほとんどありません。面倒な問題であればあるほど、暗くなった時点でいったん手放してしまいましょう。そして日が昇ったら行動開始です。朝になれば、八方ふさがりに思えていた大問題でも、思いのほか簡単に解決方法が見つかることもあるのです。

同じように、うれしいことやテンションが上がるようなことも、夜になったらいったん忘れましょう。今日という日の余韻を、できるだけ夜に引きずらないことが大切なのです。そのために、「心の切り替え場所」を自分の中につくっておくといいでしょう。生活の中に、オンとオフの境界線をつくるということです。「この場所に来たら仕事のことはいったん忘れる」という場所です。

お寺の山門をイメージしてください。山門は、俗世と仏の世界を分ける境界線の役割を果たしています。大きな寺院では、本堂までの間に3つの山門があります。門をひとつずつくぐることで、気持ちが切り替わっていくのです。

この考えは神道も同じです。一の鳥居、二の鳥居とくぐっていくことで、気持ちを切り替えることができるよう作られているのです。

<キーワード>
昨日今日不同
(さくじつ、こんにちとおなじからず)

どんなに毎日同じことを繰り返していても、昨日と今日は同じ日ではない。昨日気づかなかったことに今日は気づけるかもしれないし、昨日の失敗を今日は繰り返さずにすむかもしれない。それを積み重ねることで人は成長する、という意味の禅語。

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