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仕事一筋、子育て一筋の人は要注意!「老後も幸せが続いていくために大切なこと」を和田秀樹さんがアドバイス

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和田秀樹

仕事や子育てがひと段落ついたとき、生きがいを失ってしまった、幸せを感じにくくなったという人は多いかもしれません。ここでは、「老後の不安がみるみるうちに消えていく」と話題の新刊『わたしの100歳地図 65歳を過ぎても幸せが続く鉄則』から、精神科医・和田秀樹さんのアドバイスをご紹介します。

地位や名誉より、やりがい

仕事一筋で頑張ってきた人は、出世して地位や名誉を手に入れることに幸せを感じて、いざ、定年退職を迎えたときにそれがなくなってしまうことに苦痛を感じてしまうのかもしれません。

仕事ばかりではありません。

子育て一筋に一生懸命やってきた人にも、同じことが言えるでしょう。子どもはいずれ独立し親から離れていくものです。子どもへの思いが強ければ強いほど子離れすることが苦痛になってしまうかもしれません。

ですが、わたしが何度も繰り返しお伝えしているのは、年をとってからはそういったものをすべて手放して、「自分が幸せを感じるかどうか」だけを考えるべきだということです。どんなことに幸せを見つけ出すことができるのか……、そのいちばん簡単にできる方法としては、自分の好きなものを見つけ出すことです。

よくも悪くも、年齢を重ねて仕事を続けていると、周囲からは「いつまでやっているんだ」と思われることがあるかもしれません。しかし、医師の立場から言わせていただくと、「自分の幸せ」という観点からは、仕事を辞めてフヌケ状態になるよりは、その仕事が自分にとって苦痛や不快がなければ、続けられるかぎりは仕事を辞めるべきではありません。高齢になっても働き続けるということは、心身の健康を維持し、老化を遅らせるという意味でとても有効なのです。

第二の人生はまだまだ先、70歳を過ぎてから

少し前までは、定年退職というと60歳でしたが、2021年4月より「高年齢者雇用安定法」の改正法が施行され、事業主に対して定年を70歳に延長するなどの「就業確保措置」が努力義務化されました。いわゆる「70歳就業法」が施行され、70歳までの定年の引き上げ、70歳までの継続雇用制度が導入され、多くの人が70歳まで働くことができるような世の中になってきました。

また、総務省統計局では、毎年「敬老の日」(9月の第3月曜日)を迎えるにあたり、日本の65歳以上の高齢者像を統計の視点からとりまとめています。

そのデータによりますと、2022年9月15日現在、65歳以上の高齢者は3627万人と過去最多になりました。総人口に占める割合は29.1%と、これも過去最高です。これに伴い、高齢者の就業者数も909万人と過去最多。65歳以上の高齢者の就業率は25.1%で、高齢者の4人に1人はなんらかの仕事に就いていることがわかります。

さらに、この内訳を年齢階級別に見ると、65〜69歳の就業率は10年連続で伸び続けて、2021年には初めて50%を超えて50.3%となり、半数以上の人が働いていることが見てとれます。70歳以上も5年連続で上昇し、18.1%と5人に1人に近い就業率を示しています。

要因としては、人口の多い団塊の世代が2012年以降、65歳を超え始めたということもありますが、人生100年時代といわれるように、平均寿命、健康寿命ともに延びる一方、少子化などで若い世代の働き手が減少しているなど、さまざまな事由があげられます。

こういった数字からもわかるように、いまや人生の岐路は第二の人生は70歳から始まると言っても過言ではないでしょう。70歳はまだまだ心身ともに健康で、体力も気力もあり、現役時代と同様の生活ができる最後の活動期でもあります。

「そうはいっても、これまで家族のために一生懸命に働いてきたのだから、定年後はゆっくり過ごしたい」「70歳を過ぎてまで働きたくないよ」と言う人がいても不思議ではありません。

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