和田秀樹さんがアドバイス「自由なセカンドライフは、我慢や羞恥心を捨てることから始まります」
頼れるものはすべて頼る
年齢を重ねていけば、どんなにあらがっても老いを受け入れざるをえない時期というのが、必ずやってきます。とくに80代後半くらいからは、どんどんできないことが増えていき、人に頼らざるをえないことも多くなってきます。そのときこそが、ありのままの自分の老いを受け入れる時期ではないかと思っています。
それは、自分のこれまでの考え方や生きる姿勢を変えることになるかもしれませんが、かたくなにそれを守り続けるよりも、多くの老化のハードルを乗り越えることにつながると思います。
当たり前のことですが、迷惑をかけたりかけられたりは、お互いさまであり、人は助け合わずに生きていくことはできません。高齢ともなれば、素直に助けの手を借り、感謝の気持ちを伝えたほうが、お互いにとっても物事が気持ちよく回っていくこともあります。
公共のサービスに頼ることで、家族の介護負担が減ることだったり、そのニーズを満たすために雇用が生まれたりと、ギブアンドテイクで世の中全体の収支が合い、うまく回っていくことにもつながります。それは人に限ったことだけでなく、道具に頼ることにもあります。
足腰が弱って、歩行に不安があるというなら、杖や歩行補助器などに頼ってみる。多少の衰えを自覚していても諦めず、器具の助けを借りてでも、いまできる能力を生かすのは、老化を予防するうえでとても大事なことです。
いまはまだ自分事として考えられないかもしれませんが、この先お世話になることも出てくる補聴器やおむつに関しても、自尊心や羞恥心といったものを捨て、利用できるものは素直に使ったほうが楽に生活の質が上がり、気持ちにも余裕が生まれるはずです。
他人に迷惑をかけないように努力するより、自分でもできることは何かを考える。これまでできたことができなくなると、「自分はもう年だからダメだ」「諦めたほうがいい」と悲観的になってしまうこともあるかもしれませんが、その必要はないのです。
どんなに体力が落ちても、これまで経験してきたことや蓄積された技術、知識がなくなってしまうわけではありません。少しレベルを下げればやり続けられることはたくさんあるのです。
そのためには、ためらわず人に頼ったり、道具に頼ったり、できるだけ楽な方法を考え、やりたいことをけっして諦めないことです。それだけでまだまだ自由に生きていくことができるのですから、やらない手はありませんよね。
※この記事は『わたしの100歳地図 65歳を過ぎても幸せが続く鉄則』和田秀樹著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
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