高齢の親にかける言葉の鉄則とは?小林弘幸先生が教えるコミュニケーション術
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雑誌「健康」編集部
コミュニケーションのカギになるのは「自律神経」。心と自律神経がととのって人生が幸せになります。感情を出しやすい身近な人や場所では、ちょっとしたふるまいで相手を傷つけていることも。家庭や生活の場面での話し方・伝え方、やさしいコミュニケーションを、自律神経の名医 小林弘幸先生に伺いました。
自分に非があるときは、いさぎよく心を込めて謝る
NG
×「ごめん。やろうと思ったんだけどバタバタとしていて……」
NICE
◎「(いさぎよく)ごめんなさい」
●言い訳は信頼感を失うだけ
●スパッと謝って許してもらえれば、その後のパフォーマンスはアップする
明らかに自分に非がある失敗をしてしまったときは、余計な言い訳は禁物です。いさぎよく、心から謝罪しましょう。
自分の非の根底には、準備不足や怠慢が見え隠れします。たとえば考えの甘さや確認の不十分さ、寝坊による遅刻などです。
「やろうと思っていたんだけど、別件でバタバタしていて……」など、あれこれと言い訳を並べるのは、信頼感をなくすだけです。
ここで挽回しなくてはと、あるいは責任回避しようと、あれこれとウソを並べると、その罪悪感でストレスが増大し、自律神経のバランスが乱れてしまいます。その後の関係に影響することにもなりかねません。
とにかく自分の失敗をすべて認めて、ただひと言「ごめんなさい」と深く深く、頭を下げましょう。反省と謝罪の姿勢に合点がいけば、そこがこの問題のゴールになります。
ほとんどの人は「次は気をつけて」と、それ以上は責めることはしないでしょう。
年老いた親・きょうだいには、見た目や注意の言葉は避ける
NG
×「気をつけなきゃダメだよ」
NICE
◎「顔が見られて安心したよ」
●体調をくずしている人の見た目や状態にふれることは避ける
●注意ではなく安心できる言葉を選ぶ
人生100年時代といわれて久しいですが、頭も体も健康なまま年を重ねるのは、なかなかむずかしいものです。そして高齢の親きょうだいの面倒を見ている介護者も増えています。
心身の不調を抱えていたり療養中だったりと、健康状態に問題のある人への声かけは身内といえども、なかなか気を使います。
まず体調をくずしている人に対して、見た目にふれることは避けましょう。
「顔色が悪いよ」「やつれたんじゃない?」などと言われると、一気に気落ちして自律神経も大きく乱れてしまいます。健康でないことは心にも大きな負荷になっているので、悪気はなくても相手を傷つけてしまうことになります。
また「一日も早く」という言葉は、回復したいのに思うようにいかない人にとっては、余計なあせりを抱かせてしまいます。
かける言葉は「ゆっくり休んでね」など、心身が弱っている人が、安心できるような言葉を選びましょう。