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和田秀樹の老後資金術「いくら貯蓄しても不安は消えないから」必要最低限の蓄えのすすめ

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和田秀樹

いまこそお金を思い出に変える

もちろん、無計画に使い続ければ家計が破綻してしまいますが、巨額のお金を無謀な投資などに使ったりしなければ、そう簡単に破産するということはないと思います。高度経済成長期からバブル経済を経験したいまの日本の高齢者は、預金や家など、ある程度の財産をもっており、臨終を迎えたとき、思っていたよりも多くの財産を残す人が多いといわれています。必要以上にお金の心配をする意味はないということです。

とはいえ、総じてお金を使わないように考えて、コツコツ貯蓄しながら生活を送ってきた人のなかには、いきなりお金を使えと言われてもどうやって使っていいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。

であるならば、これまで頑張ってきた自分へのご褒美、パートナーへの感謝の気持ちとして、自分や大切なパートナーが、本当に幸せと思えるお金の使い方を考えればいいと思います。

どんなものでもいいのです。これまでほしかったけど我慢してきたもの、やりたかったけどやらずに我慢してきたことなど、自分の心を満たしてくれるものや体験などにお金を使い、「お金」を「思い出」という何物にもかえがたい財産としてあげればいいのです。

そして、いつ最期の日が来るのか誰にもわかりませんが、人生の終わりにすべての財産を使い切るというのが理想です。

なかには、子どもや孫にお金を残したい、死ぬときは周りに迷惑をかけたくないと考えている人がいても不思議ではありません。しかし親に財産があると、その子どもや相続の権利をもつ人たちにはたいていろくなことがありません。遺産相続でもめるケースが非常に多いからです。親の遺産相続でそれまで仲のよかった兄弟姉妹が犬猿の仲となってしまった――映画やドラマの世界で見聞きするものではなく、身近なところで起きている事実です。

まして子どもや孫に財産を残そうとして、自分がしたいことを我慢したり、節約したりして、かえってストレスをためることは、まったく意味のないことです。ややもすると、それが認知症やうつ病の発症につながってしまい、かえって子どものためにも社会のためにもならないことは明白です。

それでも、どうしてもお金を残したいというのなら、自分の葬式代程度にしておくのがいいのではないでしょうか。もちろん死んでからのことはわからないので、わたしはそれも必要ないと思っています。

※この記事は『わたしの100歳地図 65歳を過ぎても幸せが続く鉄則』和田秀樹著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
※この記事は2024年8月15日に文章構成を変更しました。

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わたしの100歳地図 65歳を過ぎても幸せが続く鉄則

人生100年時代が叫ばれ、平均寿命も毎年、確実に上がり続けている。これを”長生きできてうれしい”と手放しで思う高齢者はひとりもいないのではないか? いや、それどころか、老後資金の枯渇問題、健康や認知症といった老いることの恐怖などなど、不安を抱えている高齢者がどれだけ多くいることか。そんな暗雲垂れ込める人生100年時代を、30年以上の長きにわたり、高齢者医療に携わってきた医師でありベストセラー作家でもある和田秀樹が、初めて自身の人生を振り返り、そして、これからの人生を語る和田自身の人生100年時代の設計図。ひとたび読めば、老後の不安がみるみるうちに消えていき、人生を幸せで豊かなものにしてくれるシニア待望の福音の書である。

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