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【ガーデニング】夏のバラのお手入れ。夏剪定の具体的な方法は?【後編】

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吉原美奈子

【ガーデニング】夏のバラのお手入れ。夏剪定の具体的な方法は?【後編】

野菜、ペチュニア、鉢植えバラ……、好きなものをただ並べただけの気取りのない庭。バラはどんな場所にもすんなりおさまって、素敵な景色を作ります。

月2回お届けしているバラの記事。前回に引き続き、バラの夏の剪定についてのお話です。夏剪定の目的や時期については前号でお話しましたが、これからの2週間はベストな時期。剪定でどこを切ってよいか分からないという方に向けて、なるべく分かりやすくお伝えできればと思います。頻発する台風への備えについても触れておきます。

夏剪定が不要なバラもあります

秋バラを美しく咲かせるための夏剪定ですが、どんなバラにも夏剪定が必要かといえばそうではありません。一季咲きオールドローズ一季咲きのつるバラは秋には花が咲かないので夏剪定は不要です。ただし、これらのバラも夏を超すと収拾がつかないほどに大きく茂ってはいませんか? 気になるときは伸びすぎた枝を切って株を整える整枝を行いましょう。見た目がすっきりしますし、病害虫の被害を少なくする効果もあります。

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秋の実も可愛い、オールドローズのロサ・エグランテリア。葉をこするとリンゴの香りがすることで知られます。実を楽しみたい場合は、夏剪定や整枝は行いません。

返り咲き性のイングリッシュローズシュラブローズなども、夏剪定が必ずしも必要とは限りません。このタイプのバラは春に一斉に花を咲かせたあとは、不規則にパラパラと花を咲かせることが多く、花がら切りを継続していれば花数は少ないものの秋まで咲き続けます。枯れ枝や樹形を乱す枝があればそのつど切りとっておきます。

ただし、ここが考えどころなのですが、自分の庭やベランダで秋バラをなるべく密に華やかに咲かせたいと思うのなら、こうしたバラにも夏剪定をしてあげたほうがいいでしょう。秋バラはたとえ満開になっても春ほどの華やかさはないため、花がら切りを継続しているだけだと秋に少し寂しく感じてしまうかもしれません。自分の咲かせたいイメージを思い描いて決めましょう。

また、病害虫の被害などで弱ってしまい、葉をほとんど落としてしまったバラは、なるべく葉を残したいので夏剪定は不要です。ただし、枝を切ってやると次の芽が育つので、株バラであればすべての枝の上部を軽く(10㎝程度)切っておくといいでしょう。

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ドイツのバラ園のややフォーマルな情景。支柱を立てて枝を長く直立させ、花を傘状に咲かせる仕立て方をスタンダード仕立てといいます。こうしたバラも夏剪定をすれば秋に再度見せ場を作ってくれます。

夏剪定で枝を切る位置はどこ?

ハイブリッドティー四季咲き大輪バラ)、フロリバンダ(四季咲き中輪バラ)、四季咲きイングリッシュローズやフレンチローズ、四季咲き性があるブルボン系のオールドローズなどには夏剪定が必要です。秋ににぎやかに咲かせたいならミニバラにも行ってよいでしょう。まずは枯れ枝や病害虫の被害にあった葉を切り捨ててから始めます。

枝を切る位置に悩むところですが、7月に花を咲かせた枝の真ん中あたりの、5枚葉の付け根の上5~6㎜の位置にハサミを入れます。バラの葉をよく見ると5枚1組のものと3枚1組のものがあるのが分かります。中には1枚などということもありますが、基本は5枚葉なので見つけるのはそんなに難しくないはずです。切る位置に5枚葉が複数あったら大きくて元気なほうを選びます。

バラ栽培に慣れていない方は、7月に花を咲かせた枝を見つけるのに苦労するかもしれません。株がわさわさと茂っているので見分けがつかないこともあるでしょう。そんな時は株の高さの1/3ほどを切り、2/3を残して背を低くしてやればいいのです。大切なのはすべての枝の5枚葉の上にハサミを入れることで、切ったところからまた芽が伸びだします。

できれば真ん中が高めのドーム型に整えたいところですが、株を形作るのは冬剪定で行うので大体でかまいません。秋バラを咲かせることだけを考えましょう。

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ハイブリッドティーの‘サマーレディ’。やや昔の品種ですが、オレンジピンクのおおらかな花でよい香りがします。ハイブリッドティーローズには必ず夏剪定を行います。(筆者撮影)

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アプリコット色の中輪バラを剪定中。剪定時はバラのとげでケガをすることもあるので、薄手の皮手袋をはめて作業すると安心です。

イングリッシュローズとは、イギリスの育種家デビッド・オースチン氏によって開発されたバラの系統で、オールドローズの香りや花形と、モダンローズの四季咲き性、耐病性をあわせ持っています。カップ咲きやロゼット咲きが多く、ナチュラルガーデンにぴったりの優雅な雰囲気を演出します。

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ハイブリッドティーは、ガーデニングで最も人気のあるバラの系統の一つです。19世紀後半に生まれたこの系統は、花の形が美しい古典的なティーローズと丈夫なハイブリッドパーペチュアルを交配して作られました。大輪で咲き誇る花と高い香り、多彩な色合いが特徴で、シンボル的な存在感を放ちます。鉢植えや地植えはもちろん、切り花としても優れており、ガーデニング初心者からも愛されています。

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オールドローズとは、1867年に最初のモダンローズである‘ラ・フランス’が登場する以前に育種・栽培されていたバラの総称です。ダマスク系やガリカ系など豊かな香りと花姿を特徴とする系統がいくつかあり、多くは一季咲きです。自然な樹形の美しさから、ナチュラルな庭づくりによく取り入れられます。

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返り咲きとは、通常の花期を過ぎた後、再び花を咲かせる現象で、おもに気温の変動や剪定のタイミング、肥料や水分条件が影響します。バラやアジサイなどで見られ、特に温暖な秋に発生しやすく、長く花を楽しめる反面、植物にとってはエネルギーの消耗が大きいため、年に一度の開花に比べて樹勢が弱ることもあり、管理には注意が必要です。

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四季咲き性とは、特定の開花期をもたず、条件が整えば一年に複数回花を咲かせる性質を指します。​バラやベゴニアなどにこの性質をもつ品種があり、長期間花を楽しむことができます。

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一季咲きとは、一年のうち特定の季節にのみ花を咲かせる植物のことを指します。特にバラにおいてよく使われる用語で、春から初夏にかけて一度だけ花を咲かせ、その後は葉の生長や株の充実に向かうタイプの品種を指します。これに対して、四季咲きの植物は年間を通じて複数回花を咲かせる特性があります。

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シュラブとは、ガーデニングでよく用いられる低木の総称です。生長が安定し、剪定によって形を整えやすいことから、庭や花壇の基盤となる植栽として重宝されています。バラの一種のシュラブローズも有名で、初心者から上級者まで幅広く愛されています。また、季節ごとの景観を楽しめる落葉樹や常緑樹があり、生育環境やデザインに応じて選べるのも魅力的です。

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肥料とは、植物が健やかに生長するために欠かせない栄養素を補給する材料のことです。おもにチッ素、リン酸、カリウムを三大要素とし、それぞれ葉の生長、花や実の形成、根の発達を助けます。有機質肥料と無機質肥料に分類され、有機質肥料は堆肥や骨粉など自然由来で、土壌改良にも効果的。一方、無機質肥料は成分が均一で即効性が魅力です。ガーデニングでは植物の種類や生長段階を考慮し、適切な肥料選びと施肥のタイミングが大切です。

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樹形とは、樹木の全体的な形や姿のことで、自然に育ったままのものから、人の手によって整えられたものまで、さまざまなスタイルがあります。たとえば「立ち性」「横張り性」「ほうき状」などがあり、ガーデニングでは庭のデザインやスペースに合わせて選ぶことが多いです。また、剪定によって希望の樹形をつくることも可能で、生け垣やシンボルツリーなどにおいて重要な要素となります。理想的な樹形を保つためには、生長の段階に応じた手入れや剪定が欠かせません。

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支柱とは、植物が倒れたり茎が曲がったりするのを防ぐために立てる棒状の補助具。特に生長とともに高さが出る植物や、実が重くなる果菜類、つる性植物などに欠かせない資材です。ガーデニングでは、支柱の材質や形状によって景観にも影響を与えるため、景観に馴染む自然素材のものや色つきのものを選ぶことで、植物の生長を支えつつ庭の美しさとの両立を図ることができます。

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剪定とは、植物の不要な枝を切り取る作業のことです。形を整えたり、風通しをよくしたり、枝分かれを促したりする目的で行われます。剪定を行う目的に合った正しい時期に行うことが大事です。

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