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【らんまん】どこまでも地べたを行く美しさ。万太郎ははたしてオワコンなのか

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田幸和歌子

【らんまん】どこまでも地べたを行く美しさ。万太郎ははたしてオワコンなのか

「らんまん」第107回より(C)NHK

朝ドラを見るのが1日の楽しみの始まりとなっている人、多いですよね。数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。より深く、朝ドラの世界へ!

【第21週のらんまん】そこにはもう田邊の姿はない、はたして本当に事故だったのか……そんな疑問も残る中、再び植物学教室へ

長田育恵作・神木隆之介主演のNHK連続テレビ小説『らんまん』の第22週「オーギョーチ」が放送された。

いよいよ残り5週。中弛みなく走り続けてきた本作も、いよいよ終盤で万太郎が研究の最前線から退く斜陽の時期が来たようかのように見えた。しかし……。

田邊教授(要潤)が日本で学問として始め、万太郎が新種発見と精密な植物画で世界にその名を知らしめた植物学の世界だが、東京大学の植物学教室に助手として戻って来た万太郎(神木)は、徳永教授(田中哲司)は標本を充実させることだけに注力しろと指示される。徳永はドイツ留学で惨めな思いをしたことから、植物を「勝ち負け」のみでとらえるように変わってしまっていた。

助教授の大窪(今野浩喜)からは万太郎の研究はもう古い、今の主流は顕微鏡を使った研究で、次の段階に入っていると指摘される。実は大窪も役目を失い、非職となっていた。かつて植物に一生を捧げることで植物学に恩返ししたいと言った万太郎の言葉を思い出し、「傲慢」「せいぜい勘違いしてろや」と笑う大窪。これは、自分が植物学で役立つことを信じて疑わない万太郎へのエールでもあったろう。はたして万太郎は「オワコン」なのか。

そんな中、万太郎は台湾に行く学術研究員として指名される。1895年に下関で日清講和条約が締結され、台湾が日本に割譲されたことで、国力増強のために台湾の植物を調査する目的だ。

万太郎はその国の言葉を学んでから出発したいというが、台湾を支配下とみなす国は日本語で話すよう命じる。また、万太郎は陸軍大佐・恩田(近藤公園)からピストルを買うよう指示されるが、ピストルを持たないと言う万太郎に、寿恵子は「お守り」として『日本植物志図譜』を渡すのだった。

一方、万太郎が台湾に旅立った後、ある青年が長屋を訪ねて来る。それは、万太郎が土佐で植物採集した際の案内人で、新種の植物発見のきっかけにもなった虎鉄(濱田龍臣)だった。あれから10年、24歳の青年となった虎鉄は万太郎の助手になるために上京したと言う。万太郎が撒いた植物学の種は、知らぬ間に芽を出していたのだ。

3カ月後、台湾から万太郎が帰国。万太郎は「オーギョーチ」を食べながら、台湾の案内人・陳志明(朝井大智)と台湾の人々、オーギョーチに命を救ってもらったことを明かす。万太郎が病に倒れたとき、陳が救ってくれたのは、万太郎がピストルではなく、『日本植物志図譜』を大事に携えていたため。これは寿恵子の機転が、何より万太郎の差別・偏見のない精神が自ら救った命だろう。

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