私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

ナイツ・塙 宣之さんのエッセイ「ちょっと変なおじいさん、義父の静夫さんをテーマに書きました」

公開日

更新日

ゆうゆう編集部

個性的な義父のおかげでイライラしなくなった

早朝、庭先で水をまく静夫さんは、塙さんの愛車にも容赦なく水をぶっかける。水垢で車が逆に汚れてしまうから、「車に水をかけないでくださいね」とお願いしても、静夫さんは「えぃえぃ」と、どこ吹く風。

「今も毎朝水をかけられているし、そのことはもう諦めています。静夫さんが家の鍵を持たずに外に出ちゃって、『開けてくれ〜』なんてピンポン押して言うのもしょっちゅう。なかなか賑やかな毎日です」

静夫さんと暮らし始め、塙さん自身に予想外の変化もあった。

「人に何かを求めなくなりました。静夫さんの部屋はかなり散らかっていて、僕はそれが嫌だったんです。ちょっと片づけてほしいと思っていたけれど、それが無理だということがわかり、人にはそれぞれテリトリーがあるということもわかった。自転車に毎日カバーをかけているのを見て、『かけなくていいのに』と思っていたけれど、それが静夫さんのルーティンだから。そう思うとイライラしなくなりました」

今年6月には漫才協会の会長に就任した塙さん。ベテランの師匠たちはクセ者ぞろいだが、静夫さんのおかげで変なおじいさんのトリセツが自然と培われたそう。 

「静夫さんは孫たちに『静夫!』と呼ばれてイジられています(笑)。それでも怒らず笑ってくれるのがいいなと思う。僕も師匠たちをときにイジったりしています。そんなふうにイジらせてくれる人は“愛すべきおじいさん”。逆に怒りだしちゃう人は“困ったおじいさん”だと思います。僕もいつかは“愛すべきおじいさん”になりたいけれど、静夫さんにはぜったいなりたくない(笑)。もうちょっとアクティブに生きたい。ずっと家にいて、空ばかり見ていて何が楽しいんだろうと思っちゃう。でも、静夫さんにはそれが楽しいみたい。人に合わせない生き方は面白いなと思います」

PROFILE
塙 宣之

はなわ・のぶゆき●1978年、千葉県生まれ。
2000年、土屋伸之とお笑いコンビ「ナイツ」を結成。
08年から3年連続でM-1グランプリ決勝進出。
平成28年度芸術選奨大衆芸能部門文部科学大臣新人賞など、受賞歴も多数。
23年6月には漫才協会会長に就任。

※この記事は「ゆうゆう」2023年10月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。


取材・文/本木頼子

ゆうゆう2023年10月号

いくつになっても、旅は心に栄養を与え、人生を豊かにしてくれます。そのとき、その場所でしか味わえない感動を探しに、旅に出ませんか。

『ゆうゆう』10月号は、今こそ行きたい「旅」を大特集! 巻頭は旅の達人、女優の羽田美智子さんのインタビュー。編集部からのおすすめは「魅惑のクルーズ旅」「城巡りの旅」「紅葉を愛でる温泉の旅」。あなたの旅心を刺激する3つの旅を提案します。

『ゆうゆう』10月号、今月のもう一つの目玉は、とじ込み付録「スマホ使いこなしBOOK」。
家族や携帯ショップでも聞きにくい基本の操作から、おすすめのアプリまで、あなたのスマホライフがもっと楽しくなる技を集めました。LINEやGoogleマップをもっと使いこなしたい、スマホでネットショッピングを楽しみたい、災害時にスマホを役立てたいetc… あなたがスマホでやりたいは何ですか? スマホ活用アドバイザーの増田由紀さんが親切にお教えします!

詳細はこちら
この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ