【親の認知症に気づいたら】親の収入より支出が多かった場合はどうしたらいい?
親の経済状態を把握する
介護費用は親の財産から考えるのが基本です。そのためには、まずは親の収入や財産を知る必要があります。
とは言っても、自分の財政を快く明かす親はそう多くないはず。親のことを心配している気持ちを粘り強く伝えていきましょう。
できれば親が元気なうちに、もしもの将来の話をしておくのがベストです。エンディングノートを2冊用意して、もしものときにお互いが困らないようにと、親といっしょに記入をしていくのもいいでしょう。
親の経済状態を把握するため、親の収入を調べます。公的年金、預貯金、有価証券、不動産、各種保険金などの額です。
次に、親の支出がどのくらいあるのかを調べます。介護費用、医療費、住居費、光熱費、食費、通信費、その他雑費、各種ローンなどです。
収入から支出を差し引いた額の範囲内で、介護サービスを選ぶのが基本です。
収入より支出が多かったら
親の収入より支出が多かった場合はどうしましょう。
もし、支出のほうが多かったとしても、それでも介護費用を子どもが負担したりする必要はありません。
なぜなら、子どもが自分の財布から出したり、配偶者が親の介護費用を払ったりしていると、最初はよくても、回数が増えるに従い不満が募っていくものだからです。やがては、親や配偶者、兄弟姉妹の間で爆発しかねません。
介護費や医療費、生活費を軽減できる制度やサービスはたくさんあります。地域包括支援センターやケアマネジャー、市区町村の担当窓口などに問い合わせてみましょう。
介護家計簿をつけて共有を
親の資産や収入を確認したら、その情報を兄弟姉妹で共有して、親のお金を管理する代表者を決めましょう。
認知症の親のお金の管理を子どもがするケースでは、ほかの兄弟姉妹に疑念を抱かれて深刻な金銭トラブルに発展することもあります。そういったトラブルを防ぐためにも、介護家計簿をつけて、共有できるようにしておくとよいでしょう。
介護家計簿には、親にかわって入出金したり、立て替えたりした場合は、その額と支払先などをつど、記入するようにします。スマホの家計簿アプリを使って共有するという方法もあります。
認知症の親自身が金銭管理をしていて心配な場合は、地域の社会福祉協議会による「日常生活自立支援事業」を利用する方法もあります。これは、軽い認知症などで判断能力が不十分な人が自立した生活を送れるように、福祉サービスなどの利用援助を行うものです。
本人との契約により、預金通帳や実印、不動産権利証書などを預かって保管したり、公共料金の支払いや、毎日の暮らしに必要なお金の出し入れを手伝ってくれるなど、支援計画に沿ったサービスが提供されます。地域の社会福祉協議会に問い合わせてみましょう。
※この記事は『親の認知症に気づいたら読む本』杉山孝博(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。
※2022年9月29日に配信した記事を再編集しています。
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川崎幸クリニック院長
杉山孝博
川崎幸クリニック院長。1947年愛知県生まれ。東京大学医学部附属病院で内科研修後、地域医療に取り組むため、川崎幸病院(神奈川県川崎市)に勤務。1981年より「公益社団法人認知症の人と家族の会(旧・呆け老人をかかえる家族の会)・神奈川県支部」の活動に参加、現在、同会副代表理事、神奈川県支部代表。往診・訪問看護を中心にした在宅ケアに取り組み、「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」「上手な介護の12カ条」を考案、普及。公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問や、公益財団法人さわやか福祉財団評議員、厚生労働省関係委員としても活躍中。主な著書・監修書に『よくわかる認知症ケア』(主婦の友社)、『認知症の人のつらい気持ちがわかる本』(講談社)、『認知症サポート』(学研)など多数。
川崎幸クリニック院長。1947年愛知県生まれ。東京大学医学部附属病院で内科研修後、地域医療に取り組むため、川崎幸病院(神奈川県川崎市)に勤務。1981年より「公益社団法人認知症の人と家族の会(旧・呆け老人をかかえる家族の会)・神奈川県支部」の活動に参加、現在、同会副代表理事、神奈川県支部代表。往診・訪問看護を中心にした在宅ケアに取り組み、「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」「上手な介護の12カ条」を考案、普及。公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問や、公益財団法人さわやか福祉財団評議員、厚生労働省関係委員としても活躍中。主な著書・監修書に『よくわかる認知症ケア』(主婦の友社)、『認知症の人のつらい気持ちがわかる本』(講談社)、『認知症サポート』(学研)など多数。
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