私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

イライラやストレス。ココロの元気に必要な7つの栄養素とは?医師が解説

公開日

更新日

雑誌「健康」編集部

栄養素は、ココロや体の「材料」です。適切な栄養をとって、体の機能を調整すると、体調がよくなります。ココロの元気に必要な7つの栄養素とはなんでしょう? 日本栄養精神医学研究会会長の奥平智之さんにお話を伺いました。

★前回はこちら★

イライラ、不安、やる気が起きない、その原因は「食」のせいかも。ココロの不調回復に【食べてうつぬけ】

1【鉄】ココロに効く栄養素ナンバーワン!

脳内ホルモン、ミトコンドリアで、エネルギーを作る上で必須のミネラルが鉄です。

実は、老若男女の不調の多くに、鉄欠乏が影響しています。ヘモグロビン値に問題がなく、貧血ではなくても、「フェリチン(貯蔵鉄)」の数値が低ければ、鉄不足です。フェリチンは、通常の血液検査では調べないことが多く、見逃されがちです。

単に鉄をとれば、鉄欠乏が改善するわけではありません。糖質過多の生活で炎症体質の人は、鉄サプリや鉄剤を飲むのは逆効果。鉄が腸から十分に吸収されず、余った鉄が活性酸素の原因になったり、腸の有害菌のエサとなり、有害菌が増えて、腸に炎症が起きやすくなります。

対策として、酸味などで鉄の吸収を高めたり、鉄を補充できる鉄器や鉄球を調理に活用したりしましょう。

<鉄が不足すると>
・ミトコンドリアで効率よくエネルギーが作れなくなる
・イライラ、憂うつ、神経過敏などの精神症状が出やすくなる
・粘膜の代謝が悪くなって、胃腸障害や飲み込みにくさが出る

2【ビタミンB群】ココロの元気に“チームB”

「ビタミン」と聞くと「体によい」と感じますが、「ココロにもよい」ビタミンがあります。その代表がビタミンB群です。脳の神経伝達物質は、たんぱく質から作られますが、ビタミンB3(ナイアシン)・B6・葉酸などのB群がないと、セロトニンやドーパミンには変換されません。ミトコンドリアでエネルギーを作り出すときにも、材料の脂質やたんぱく質や糖質だけではダメ。ビタミンB群が働くからこそ、エネルギーに変化します。

ビタミンB群の不足がナイアシン欠乏を促進するなど、ビタミンB群は互いに補い合いながら働くので、できるだけB群全体をとるようにしましょう。

3【たんぱく質】ストレスが多い人は特に重要

筋肉や骨を作るだけではなく、酵素もホルモンもコレステロールも、全部たんぱく質でできています。ですから、たんぱく質が不足すると消化酵素も不足して消化吸収能力が落ち、ココロに必要な栄養素を取り込めません。

コレステロールが不足するとうつ状態が出たり、衝動的になったりします。ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質も、たんぱく質。筋肉量が低下すると、糖新生力が落ちるので、血糖調節障害も起きやすくなり、精神症状に影響が出ます。体とココロの土台部分は、たんぱく質でできているのです。たんぱく質は常にしっかり食べて補給することが必要です。

4【マグネシウム】酵素の活性化に最重要

マグネシウムは、消化酵素や代謝酵素など、体内の300種類以上の酵素の働きをサポートしています。ところが、ストレスが長引くとコルチゾールやアドレナリンといったホルモンが増え、マグネシウムを消費してしまいます。アルコールや糖質の過剰摂取、低血糖ストレスはマグネシウムを無駄に消費します。

マグネシウムが不足すると、エネルギー産生が低下したり、筋肉が収縮する症状(血管平滑筋が収縮すれば、高血圧)が見られたりします。また、学習能力や記憶力の低下、抑うつ気分も。50代以上に多く見られる高血圧や腰痛、肩こりなどは、マグネシウム不足が一因かもしれません。

この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ