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【色の名前クイズ】どっちが「生壁色(なまかべいろ)」?

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ゆうゆうtime編集部

生壁色は【A】

水を混ぜて練りあげた壁土が、まだ乾かない状態を生壁といいます。これがすっかり乾いてしまうと、白茶けた色になるのですが、水けを含んで湿ったままだと、黒ずんだ緑みの黄褐色に見えます。

そんな色を表す色名ですが、これは左官職人の用語ではなく、主に染色の色名として用いられていました。

日本語の染色の色名には、植物の色からとられたものが多いのですが、英語でオリーブと呼ばれる色の系統には、日本人がよく知っている植物の色がなかったのでしょう。ここでは珍しく生壁のような無機質の名前が選ばれています。しかもこれがけっこう人々に気に入られたとみえて、藍生壁とか江戸生壁、利休生壁というような変種もいくつか登場しています。

それでは【B】は何色?

【B】は樺色(かばいろ)

蒲(がま)の穂のような色、ということで蒲色とも書きます。樺(かば)は桜の樹皮のこと。アイヌ語のカニハに由来するということです。つまり樺は借字ということになります。ところが平安朝の重ねの色目には樺桜があるので、この名前は古くから知られていたようでもあります。

樺桜の色目は、表が蘇芳(すおう)、裏が赤花、または表が紫、裏は青、そのほかの説もあります。樺桜は山桜の一種で、「源氏物語」にもその花の咲きみだれた様子の形容が出てきます。その樹皮のような濃い茶色を表す色名です。

この樺色と水草の蒲の穂のような蒲色とは、特に色の区別はなく、同じように用いられてきました。近世になって、これが樺茶または蒲茶という色名で呼ばれるようになり、茶の色合いが強調されてきます。この場合も樺と蒲の両方が使われます。

樺色は、日本産業規格(JIS)「物体色の色名」で定められた「慣用色名」269色のうちの1色です。

※この記事は『増補改訂版 色の名前事典519』(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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監修者

一般財団法人

日本色彩研究所

日本で唯一の色彩に関する総合研究機関。1927年画家・故和田三造氏により日本標準色協会として創立。1945年財団法人日本色彩研究所として改組。1954年、世界に先駆けて「修正マンセル色票」の色票化研究に着手し、諸外国の研究機関に寄贈するなど、長年にわたり先端的な研究を続ける。諸省庁、自治体からの要請への対処、JISの制定や関連色票の作成等への参画、ガイドラインの提案などに携わる。

日本で唯一の色彩に関する総合研究機関。1927年画家・故和田三造氏により日本標準色協会として創立。1945年財団法人日本色彩研究所として改組。1954年、世界に先駆けて「修正マンセル色票」の色票化研究に着手し、諸外国の研究機関に寄贈するなど、長年にわたり先端的な研究を続ける。諸省庁、自治体からの要請への対処、JISの制定や関連色票の作成等への参画、ガイドラインの提案などに携わる。

増補改訂版 色の名前事典519

日本色彩研究所監修
福田邦夫著

日本における色彩研究の第一人者である「色の巨人」福田邦夫氏の色名事典のバイブル最新刊。福田氏ご逝去(2013年)の後、氏が深く関わった日本色彩研究所の監修協力を得て全面改訂。前作『新版 色の名前507』に12色を加えて519色に。JIS(日本産業規格)の269色を含む全色の正確な色見本にマンセル値、RGB、CMYKのデータを網羅。また、国内外の多くの文献をもとに色名から広がる色の世界が語られている。内容の信頼性の高さに加え、風趣に富む文章で色彩文化の読み物としても楽しめる。本改訂では平安時代からはじまる雅な「かさねの色目」79色をプラス。色値もすべて再確認し適宜修正、文章も現代に合わせて最低限の修正を加えている。色が好きな人、色の仕事に関わる人、すべてに「先人の色彩命名における言葉づかいの妙と、色に対する感性の豊かさを楽しんでいただければ幸いである」という福田氏の思いが伝わる決定版。

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