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【中野翠のCINEMAコラム】よくある話だけど後味、さわやか『HERE 時を越えて』

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中野翠

ユニークな視点と粋な文章でまとめる名コラムニスト・中野翠さんが、おすすめ映画について語ります。今回は、映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』のスタッフ&キャストが再集結し作られた『HERE 時を越えて』です。

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理想と現実。よくある話だけど後味、さわやか

『ゆうゆう』読者の中には、「戦争を知らない子どもたち」世代も多いのでは? 私自身、戦後のベビー・ブームの中で生まれた。この映画の主役も、同様だったのではないか?

父(ポール・ベタニー)は戦地から負傷して帰還。妻のローズ(ケリー・ライリー)から妊娠したと告げられ、思い切って家を購入する。やがて、長男・リチャード、長女・エリザベス、次男・ジミーが次々と誕生。

高校生になった長男・リチャード(トム・ハンクス)は画家になることを夢みていたのだが、同じ高校で弁護士をめざしていたマーガレット(ロビン・ライト)と出会い、2人は恋におちる。そのうちに、マーガレットの妊娠が発覚。2人は10代にして結婚。互いに、将来の理想をあきらめて……。

理想と現実。よくある話ではないですか。理想を追うことはできなかったけれど、楽しい家族を持つことができたのだった。

さて、マーガレットが50歳になった、その日。平々凡々の一家に思いがけないことが……という話。見終わっての後味、さわやか。

やっぱりトム・ハンクスが、いいですね。いわゆる「個性派」ではなく、ごく普通の、平均的な、「いい人」――。いそうで、いない。

あらためて、私自身の父と母のことを思う。さらに祖父母のことも思い出される。そんな映画です。

タイトルの『HERE』は「ここで」という意味なのだろう。宇宙の中の地球、そのまた中の国々、そして、家族。

主役の2人。トム・ハンクスとロビン・ライトは10代から70代までを演じた。めったにないこと。すごく若返って見えるのだけれど、最新のVFX技術も駆使したようだ。自然に見える。そんな技術にも驚かされる。

監督はロバート・ゼメキス。1952年生まれというと、72歳か。他に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ』『キャスト・アウェイ』などがある。いかにも「前向き」の映画の数かず。70歳を超えても衰えなし。たのもしい!

『HERE 時を越えて』

監督/ロバート・ゼメキス
出演/トム・ハンクス、ロビン・ライト、ポール・ベタニー、ケリー・ライリー、ミシェル・ドッカリー 他
4月4日よりTOHOシネマズ日比谷 他 全国公開
(アメリカ 配給/キノフィルムズ)
©2024 Miramax Distribution Services, LLC.
All Rights Reserved.

※この記事は「ゆうゆう」2025年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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