私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

「光る君へ」平安貴族の結婚事情をひも解く。夫婦別姓・財産も別々?!令和より先をいくその実態とは?

公開日

更新日

鷹橋 忍

平安時代の人たちは、どんな暮らしをしていたのでしょう。お姫さまは十二単?結婚観は?ウニはやはりごちそう?……NHK大河ドラマ「光る君へ」をみていると、知りたいことが次々にわいてきますね。作家 鷹橋 忍さんが、平安時代の暮らしについてひも解きます。第1回は、平安貴族の結婚事情について。

↓↓「光る君へ」最新話レビューはこちら【光る君へ】新婚生活がスタートするも藤原宣孝(佐々木蔵之介)の足は紫式部(吉高由里子)から遠のき…。思わぬ場所で藤原信長(柄本佑)との再会も

大河ドラマ『光る君へ』は平安時代が舞台とあって、現代とは衣裳、住まい、食べ物、慣習など生活全般が大きく異なり、疑問を感じることもあるのではないでしょうか。

ドラマをより楽しむために、今回は、主人公・紫式部が生きた10世紀半ば頃から11世紀前半頃の平安貴族の結婚事情をご紹介したいと思います。

紫式部の時代の貴族の結婚は、婿取婚

紫式部が生きた平安中期の貴族の結婚は、男性が女性の実家に婿入りし、生活の援助を受ける「婿取婚」でした。

男性は婿取られる相手の家柄、財力によって価値が決まったといいます(服藤早苗『平安朝の母と子』)。

平安貴族の結婚というと、一夫多妻の通い婚というイメージが、強いのではないでしょうか。
ですが、実際には嫡妻(正妻)の家に婿入りして、嫡妻と同居しており、多くは一時期には、妻は一人だけでした。

道長も関係のあった女性は複数いますが、正式な妻は倫子だけしか確認できないといいます(以上、倉本一宏『紫式部と藤原道長』)。

夫婦は別姓、財産も別々

婿取婚といっても、夫婦は別姓です。
生まれてきた子は父親の姓を名乗り、母親の姓を受け継ぐことはありませんでした。

また、ドラマの第17回「うつろい」で、私財を投げ打ち、疫病患者を収容する小屋を建てようとする藤原道長に、黒木華さんが演じる妻の源倫子が、「私の財もお使いくださいませ」と申し出るシーンからもわかるように、財産は夫婦で別々でした(服部早苗『「源氏物語」の時代を生きた女性たち』)。

恋のはじまりは、噂か垣間見?

平安貴族たちは、どのように恋愛し、結婚したのでしょうか。

政略結婚の場合はまた違ってくるでしょうが、恋のきっかけは、男性が女性の容姿や気立て教養などの噂を聞いて恋に落ちる、もしくは、垣根越しや御簾越しに姿をちらりと見かけて(「垣間見」といいます)心を奪われるという、おおよそ二つのパターンがあったといいます(川村裕子『はじめての王朝文化辞典』)。

男性は和歌を綴った手紙を女性に送り、何度かやりとりを繰り返すなかで、女性の両親が承諾すると、婚儀となりました。

PICK UP 編集部ピックアップ