研ナオコさん・71歳「孤独を感じるなら、愛されることを求める前に愛してみること、そしていつも笑うこと」
寂しさは生きている限りつきまとうが孤独とは違う
そんな研さんの飾らなさをよく感じられるのが、コロナ禍を機にお子さんたちに勧められて始めたというYouTubeだ。研さんが、すっぴんからフルメイクを完成させるまでの動画が評判を呼び、一躍人気チャンネルとなった。もうひとつ人気の秘密は、研さんとご家族ののんびりと穏やかな日常の動画。仲のよい雰囲気が伝わってきて、家族が信頼と愛情で結ばれていることがよくわかる。
「意見が合わないことはあるけど、言い争いはしないですね。そういうとき、私は黙ります(笑)。自分に正直に生きることは大切だけど、それは身勝手でいいということではなくて、思いやりや感謝というのは絶対に必要なんですね。それは家族間でも同じこと。だって人は誰しもひとりでは生きていけないですもん。気をつけているのは、家族でも相手のプライバシーは尊重すること。勝手にスマホを見たり、鞄の中を見たりということは絶対にしない。子どもたちの部屋に入るときも必ずノックをして、『今入って大丈夫かな?』と言ってから入るし、勝手に私物は見ない。だって子どもは自分の所有物ではないですから。子どもは子ども。ひとりの人間として扱わなければいけないですよね」
夫婦円満のコツは「感謝の心」
人が孤独を感じるときはさまざまあるが、子どもの巣立ちもそのひとつだろう。
「お子さんへの愛情が深すぎて寂しくなる方がいるというのは、わかります。私だってアメリカ在住の子どもたちの帰りを見送るときは、やはり寂しいですもん。離れて何年経っても寂しいものは寂しい。でも、子どもが巣立って寂しいから私は孤独だわ、というのは違うと思うんです。それは一緒にしてはいけない、別の感情です。寂しさは人間、生きている限りつきまとうもの。私も人にわかってもらえない寂しさを一瞬感じることはありますが、すぐに『それはそうだ』と思い直すんです。だってみんな別々の環境に生まれて別々に育った人たちなんだから、そんなもの当たり前じゃないって。その切り替えが大事だと思うんです」
それができれば、とことんまで落ち込まずにすむ。研さんは「落ち込んで過ごすよりも、同じ人生なら笑って明るく生きたほうがずっと楽しいし得」だと考える人だ。