【建築デザイナーのお宅拝見】ひとり暮らしにちょうどよいキッチンとは? 井出しのぶさんの実例
現在は、都内の施工現場へ出かける他は家で仕事の毎日。どんなに忙しくても、就業は17時までと決めている。
「17時を過ぎたら電話も出ないし、メールも一切見ないと宣言しています。仕事のあとは、一杯飲みながらおつまみを作って食べて、まだ何か食べたいなと思ったらちょこちょこ作って……。最近、あんまり気取ったものを食べたい気分じゃないから大層なものは作らないけど、魚、野菜をバランスよく。ぬか漬けなど発酵食品もとるよう心がけています。庭で育てているしそやねぎは、薬味に使えて便利なんですよ」
息子さんも敷地内に家を建てて住んでいるものの、食事は別々。互いに干渉しないと決めている。
「数年前、飼っていた犬が病気になってしまったとき、心配した息子が越してきてくれたんです。そのときは私も頑張ってご飯を作っていたんだけど、うちの息子、体が大きいからよく食べるのよ(笑)。それでだんだん食事作りが苦になってしまって、これはよくないなと。以来、カレーのようなたくさん作ったほうがおいしいもののときや、自分が作りたい気分のときは『一緒に食べる?』と聞くけれど、基本は別々。これくらいの距離感がちょうどいいんじゃないかな」
山の上に居を構えて、暮らしに新たに加わったことがある。
「ご近所に梅の木を植えている方が多いんですが、道のあちこちにたくさん実が落ちていて。犬の散歩の最中にその実をいただいたのがきっかけで、梅干しや梅の酵素ジュースを作り始めました。わが家の庭にたくさんなるレモンは、マーマレードにしたり、ハイボールに入れたりして楽しんでいます」
今の家での暮らしに満足していると、井手さんは言う。実は井手さんにとって、この家は7軒目の住まい。ライフステージの変化とともに住み替えを重ねてきたが、この先の人生はできる限り、ここに住み続けるつもりでいる。
「ただ、人も好みも変わるから、住まいのマイナーチェンジは必要だし、続けていきたいと思っています。今計画しているのは、シンクのワークトップを掃除のしやすいステンレスに替えること。これからもその時々の自分に合わせて手を入れて、気持ちよく過ごしていきたいですね」
※この記事は「ゆうゆう」2024年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/松木 潤(主婦の友社) 取材・文/恩田貴子
※2024年2月20日に配信した記事を再編集しています。
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