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【50代の転身実例】深謝さん53歳、安定した職を手放し漫画家へ!今思う「悔しさ」の理由は?

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ゆうゆう編集部

「このあとの人生がやりたいことをできる期間です」と話す深謝(みしゃ)さん。50歳で安定した職を手放し、一度は諦めた夢へと歩み始めました。そのきっかけと行動力の源、現在の心境を伺いました。

▼深謝さんの漫画はこちら▼ >>53歳で両親・義父母のクアッド(4人)介護に突入!「天国と地獄」のはじまりとは?【介護マンガ#1】

Profile
深謝さん 53歳

みしゃ●1971年生まれ。福祉団体に約30年勤務。認知症高齢者の金銭管理などの支援や、介護職のサポート、地域事業の企画・実行などに携わる。
50歳で早期退職し漫画家を目指して専門学校へ入学。卒業後は、コミティア(創作漫画同人誌展示即売会)への出店、出版社への売り込みに励む。
現在は企業向けの漫画を制作。ウェブ連載も進展中。

『53歳でクアッド介護、始まっちゃいました』
義父母・父母の介護を描く。SNSでも展開。

時間を忘れるぐらい好きなことができてラッキー

幼い頃は絵で自己肯定感を育て、中高生時代は漫画研究会に所属。漫画を読んだり描いたりしていた深謝さんだが、高校卒業の日に漫画道具一式を捨てた。

「才能がないのだから漫画家の夢は終わり、と決めたんです」

就職し、30年間勤めるも、常に苦しさが伴っていた。

「資料の空白に、つい絵を描いてしまうんです。それを抑えるのがしんどくて。書店に行けば、『本気を出せばこのくらい自分も描けるのに』と心で悪態をつく、醜い人間になっていました」

封印してきた気持ちを覆したのは、あるテレビドラマだ。

「そのファンのSNSでの活動を見ていたら、描かずにはいられなくなってしまったんです」

さらに50歳目前で訪れたコロナ禍、介護、早期退職制度が二毛作への後押しになった。

「自分に嘘をつきたくない、誰かのせいにしたくない。後悔しないために退職を決意しました」

最短距離で技術を身につけるため、専門学校へ入学する。

「イタいおばさんとの中傷や批判は不安でしたが、家族も同人仲間も応援してくれました。味方を増やすのも、好きなことをやる戦略かもしれませんね」

親子ほど年の離れたクラスメイトと仲よくなった。初めて「師」と呼べる人との出会いがあり、苦手なデジタル作業も克服。

「虚心坦懐に『教えてください』と言うことで、相手の接し方が変わると前職の経験から感じていました。自分もそうありたいと思っています」

30年間、漫画から離れていた悔しさはある。だが、「他人への嫉妬や自己承認欲求を抱え言い訳ばかりしている段階にいたら何もなせなかった」と考えている。

「今は、余計なことを考える時間がもったいない。『好きだからいいじゃん』とシンプルです」

現在の夢は、「ずっと描きたい題材を漫画にすること」だ。

「自分のもつリソースを還元して、世の中に貢献したい思いがあります。自分の作品で読者が一瞬でも楽になれたらな、と。それをどう受け取ってくださったのか聞けたら嬉しいですね」

深謝さんの「50歳からの【二毛作】のすすめ」

残り時間が潤沢ではないからこそ、自分に素直に、シンプルに行動できる

※この記事は「ゆうゆう」2024年11月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

取材・文/森山佳織

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