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【おむすび】「チンして」と言う天真爛漫さが、今の結(橋本環奈)と違う。どれだけ大きな影を落としたか!

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田幸和歌子

5週目にしてが然エンジンが本格始動か

この立ち聞き状態を、SNSなどで「朝ドラ名物」として盛り上がる視聴者もいたが、この「立ち聞き」も含め、気持ちがすれ違い大喧嘩する親子(歩と聖人)、神戸でのご近所商店街とのやりとり、震災(作品によっては戦争)といった大災害からの、気持ちも含めた復興といった、ある種の朝ドラ定番要素が、実は「平凡」をうたいながらもそこここにちりばめられているようにも見えてくる。

興味深いのは、そういった定番的朝ドラ登場人物のような描かれ方の外側に肝心のヒロインがいることだ。結はそれを少し離れた場所から見ている。そんな印象だ。第1話で小さな女の子の帽子を拾うため海に飛び込み、モノローグで「うちは朝ドラヒロインか?」とセリフツッコミを入れる場面があったが、どうせなら「出た、朝ドラ名物立ち聞き!」とか、親子喧嘩を「あー、朝ドラでよく見る親子の確執だ」とか、時折メタ視点で結が突っ込んだりするのも面白そうだなと思ったりもした。

「おむすび」第25回より(C)NHK

ともあれ震災が描かれ、避難所で電気もないのにおむすびを「冷たいからチンして」と無邪気にお願いしたことで、温めるにも電気もガスも止まっていることや交通事情が悪くさめてしまったことなどの理由が語られる中で、そのタイトルの重みも我々視聴者は知ることになった。5週目にしてが然エンジンが本格始動したような印象だが、やはり時間をかけてしまったことで、これまでの「離脱」組を取り戻せるか、新たな視聴者を獲得できるか、周囲の反応も含めて気になるところである。

第6週では、ギャル化した歩が「伝説のギャル」としてどう活躍していたのかが描かれるところも見所のひとつだろうが、今後気になるのは、常に理解ある母として描かれ、大事な局面で登場することもある愛子(麻生久美子)の存在だ。

ギャル化した歩に激怒しつつ狼狽もする聖人に対し、「あんなん不良て言わへんから」と切り捨てるさまも、3週目に「名古屋の元スケバン」だった過去が明かされているだけに、母のほうが「ガチ」であることを感じられ、いっそうその過去も気になる存在となってきた。

震災を経て、米田家の面々にどんな変化があったのか、そしてどんなふうに現在につながるのか、一気に目が離せないドラマになってきた。

「おむすび」第25回より(C)NHK

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