【愛のあとにくるもの】還暦女子視聴記[後編]坂口健太郎に「それはダメ!」と叫んだシーンとは?【韓国ドラマ】
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吉見フグコ
坂口健太郎×イ・セヨンがW主演のドラマ「愛のあとにくるもの」が、いま話題です。日本と韓国で物語が展開する韓国ドラマ。Amazon Prime Videoで10月から配信中です。韓流初心者のアラ還ライターが、全6話を見た感想を2回に分けてお届けします。今回は4〜6話。
※ネタバレにご注意ください
【前編はこちら】
>>【愛のあとにくるもの】[前編]「どんなに乾いたアラ還女子も感涙必至!」坂口健太郎がぐいぐい攻める話題の韓国ドラマ
肩パットが気になって集中できなかったシーンも
リアル恋愛にも恋愛ドラマにも遠ざかっている乾いたハートは本当にキュンキュンするのでしょうか?
そしてタイトルの「愛のあとにくるもの」とは何だったのでしょうか?
細かいところが気になりすぎて脱線だらけになりました。
本作の重要なキーワードの1つは「後悔」です。
「いったい誰が後悔という言葉を発明したのだろう。神は後悔から何を学ばせようとしているんだろう」
と、潤吾(坂口健太郎)は心でつぶやきます。
主役の男女4人はそれぞれの後悔を抱えています。
潤吾は、日本で暮らす韓国人の恋人ホン(紅)の孤独の深さを理解できず悲しませたことを、
ホン(イ・セヨン)は、突然の別れを選んだことで未練が残り、5年たっても潤吾を忘れられないことを、
潤吾の元恋人カンナ(中村アン)は、学生時代、潤吾をふったことを、
ホンのフィアンセのミンジュン(ホン・ジョンヒョン)は、ホンが日本に留学する前に告白しなかったことを。
それぞれ後悔に向き合い、リカバーしようとしますが、中でも積極的なのはカンナ。
こっぴどく潤吾をふったことをすぐに後悔し、ホンが去ったあとにも告白しますが、潤吾はこれをスルー。
大学卒業後は出版社に勤務し、担当編集者として潤吾を売れっ子作家に育てたのに、未だ潤吾の気持ちは取り戻せずにいます。
それどころか韓国行きが決まり、元カノと撚りを戻してしまうかもしれない! と、もう居ても立っても居られません。
「華やかで有能」という自分の立ち位置を忘れて潤吾に迫る姿は、必死すぎてみっともないほど。
でも、一番ストレートに後悔に向き合うことで、彼女はおそらく一番早くに自分を立て直していくことができたと思います。
こういう不器用なビジネスパーソン役は中村アンがうまいですね。
先日のテレ東のドラマでも似たような役で、年下男子に振り回されてたような。
が、しかし。
私は彼女の衣装のある一部分が気になって気になって。
いかにもバリキャリ風のウエアには、常にものすごい肩パットが入っているのですよ。
正直、肩パットが気になって集中できなかったシーンも数々あり。
すみません、細かいことが気になるのは悪い癖です。
潤吾ダメじゃん!! 忙しくてもLINEくらい……
本題に戻りましょう。
4話では、ホンの自宅そばの湖のほとりで、ランニングするであろうホンを待つ潤吾の姿が描かれます。
しかし、佇む潤吾の前を、ホンは足を止めることなく走りすぎてしまうのです。
これは過去にとどまっただけの潤吾と、未来へ走っていこうとするホンの姿を鮮やかに対比させたシーン。
なぜそんなに頑なに潤吾を拒むのか。
そこにはホンが経験した過去の孤独の辛さ、受け止めてくれなかった潤吾へのうらみがあとを引いているからでしょう。
この4話と5話では潤吾とホンのすれ違い、ホンが孤独を深めていくようすが丁寧に描かれます。
酔っ払いに絡まれ、警察に駆け込んでも、逃げた際に転倒し病院に行っても、バイト中の潤吾はホンからの電話には出ません。
そしてなんと、ホンとともに出席するはずの結婚パーティーも急なバイトで無断ドタキャン!
潤吾ダメじゃん!! 忙しくてもLINEくらい打てるでしょ。
気持ちが通じ合った相手であっても「わかってくれるはず」なんて過信は禁物。
そもそも新郎新婦にも失礼よ!(もはや親目線)
ところで、この急なバイトとは、憧れの出版社に面接に行ったら突然頼まれた、原稿校閲の仕事だったのです。
「校閲」とは校正者という言葉のプロが行うもの。
出版社の編集者が、文芸サークルにいる大学生に突然やらせるシーンに、いや頼まんやろ、と、画面にツッコミ。
これも本筋と関係ありませんが。
ちなみに、辻仁成氏の原作には無いシーンです。
いらぬお節介ですが、辻氏の名誉?のために書き添えておきます。
いらぬ推察ついでにもう1つ。
異国で暮らす恋人の孤独を理解できなかった後悔に、辻氏の体験も投影されているのでは、とふと感じたのです。
氏は以前、元アイドルだった女優さんと2002年に結婚し、パリに移住しました。
二人とも日本人ではありますが、フランスの文学賞である「フェミナ賞」を日本人として初めて受賞するなど、パリで活躍していた辻氏。
一方で、彼女のほうはホンと同じように孤独を深めていたかもしれません(憶測です)。
このあたりの描写に辻氏の後悔が込められているのでは、と思うのは深読みすぎでしょうか。