【孤独にならない生き方のコツ】ひとり遊びが上手な70代とは? 料理研究家・谷島せい子さん76歳
不安や心配事はそのままにはしない
生き生きと毎日を楽しむ一方、ときには気持ちが落ち込んだり、不安や心配事で頭がいっぱいになったりすることもあるという。そんなとき、どう対処するのだろうか。
「ネガティブな気持ちになっているときは、切ない映画やドラマを見て思いっきり涙します。涙には自浄作用があるのか、心も体も軽くなる気がするんですよね。心配事もありますよ。今一番の心配事は、18歳になったローリーのこと。いつ具合が悪くなるかわからないから、もしものときにパニックにならないよう、24時間診療可能な病院の情報をプリントアウトして、かかりつけの病院の診察券と一緒にファイリングしています。夜間の診察の場合は息子たちに車を出してもらう必要があるので、出張で家にいないときは教えてねと伝えてあります」
どんな心配事も放置しない。自分にできる限りの解決方法を見つけることが、谷島さん流の心配事とのつき合い方だ。
「年をとると、自分に自信がもてないことが増えていくんですよね。たとえば物忘れや車の運転、トイレの問題なんかがそう。散歩の途中でトイレの心配をしなくていいように、ローリーと一緒に入れるトイレの場所はチェック済み。行く先々の、安心安全なトイレのリストが頭に入っているんですよ」
運転の技術には自信があったものの、免許は先日返納した。そこにはこんな理由があると言う。
「万が一、事故を起こしてしまったとき、相手の方への対応や弁護士の手配などすべて自分でできるのかと考えたら、自信がもてなかった。自分で責任が取れないことはやめようと、免許を返納しました」
また物忘れには、メモで対応。忘れそうなことはすべてメモ帳に残す。一日のスケジュールはスマートウォッチで管理する他、紙の手帳にも記入して、朝起きたときに必ずチェックするようにしているそう。
「たとえ自分に自信がもてないことが増えても、自分なりのルールをつくって対処すれば、自尊心が傷つくこともなくなると思うんです。不安や心配、恐怖心は孤独を増大させる要因のひとつだと私は思っていて。自分なりのルールをもつことで、孤独を遠ざけながら変化する自分と上手につき合っていけるのではないかと思っています」
デジタルアイテムが散歩のお供
差し色と少しの見栄がおしゃれのカギ
※この記事は「ゆうゆう」2024年8月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/西山直克 取材・文/恩田貴子
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