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【ガーデニング】バラの休眠期のお手入れは?冬ならではの病害虫予防も

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吉原美奈子

【ガーデニング】バラの休眠期のお手入れは?冬ならではの病害虫予防も

開きかけのみずみずしいピンクのバラを、つぼみごと切るとはなんという贅沢! 憧れてはいてもなかなかできないことですが、開いたらいっそう華やかさが増すでしょう。

大寒を過ぎ、一年で一番寒い時期に入りましたが、最近は暖冬が続き、庭のバラも完全には休眠せず、緑の葉をつけているものもちらほら見受けられます。冬のバラ仕事を着々とこなしている方は、冬剪定までの間にちょっと一息つけますね。まだの方は暖かい日に進めておきましょう。

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フランスの小さな村のバラのあるシーン。雨どいはちょっと無粋なものですが、バラを這わせると素敵に見えてくるから不思議です。ボリューム管理をすれば、日本でもお手本にできそう。

バラの『休眠』ってどんな状態をさすの?

バラを育てている方の中には、『バラが休眠する』という表現を聞いたことのある人もいるのでは? バラが休眠するというのは、正確にはバラの根が低温によって活動を止め、そのために株の生育が休止する状態を指します。

1月を迎えるとかろうじてついていたバラの葉も自然に落葉しますが、関東以西の温暖地では年々暖冬傾向が強まり、葉が残っていることもあるでしょう。しかし春~秋に比べて圧倒的にバラの根の活動は少なくなり、生育は止まります。生育が止まる休眠中は、根や枝を切っても株への影響が少なく、だから冬にいろいろな作業をするわけです。

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美しいライラック色のバラ。花付きのよいバラを全部きれいに咲かせるには、枝葉を充実させることが先決で、地道なお手入れ作業が必要です。

剪定は2月中旬まで待つのが得策

バラの冬の作業のおさらいをざっとすると、大苗を庭や鉢に植える、鉢や鉢土を新しいものに交換する(その際に根を切って鉢に収まりやすくするのもOK)、長時間かけてゆっくり吸収される元肥を与える、株元マルチングをする、などがあります。

まだ作業を終えていない方は、引き続き最適の季節ですから早く済ませてしまいましょう。2月になるとこれまた重要なバラ仕事の一つ、『冬の剪定』が始まります。
冬の剪定は1月にやっても悪いわけではありませんが、2月中旬以降に行うほうがやりやすいのでおすすめです。

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イギリスのバラ栽培の様子ですが、おがくずでマルチングをして冬の寒さを防いでいます。他にもマルチング材には腐葉土、細かいバークチップ、植物由来の繊維で作ったマルチマットなどがあります。

バレンタインデーを過ぎると光が強くなり、日が伸びて、寒い日はありますが少しずつ春の訪れを感じます。植物はかすかな春の気配を感じて、根は少しずつ伸びだし、注意して枝を見ていると芽がわずかにふくらみ始めているのがわかります。こうなると、剪定で切る位置がわかりやすくなるので安心なのです。

寒冷地や積雪地でのバラの管理

寒冷地や積雪の多い地方では、無理に冬の作業を行う必要はなく、3月に入ってから植え付けや土替え、剪定を行うほうが安心です。それまでは枝をざっと切る仮剪定をし、なるべく株元が凍らないように土を寄せて厚くマルチングをしておきます。

鉢植えもマルチングをして軒下や物置などに移動させるとよいでしょう。鉢が凍らないように土中に埋める方法もあります。
雪はバラにとって害になるわけではありませんが、大雪でバラの枝が折れたり、裂けたりすることがないよう、支柱を数本しっかりと立てて結わえておきます。

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やさしい風情のアプリコットピンクのバラ。花形も中輪で、赤、黄などの強い色のバラと合わせてもなじみやすい。庭に1株あるととても重宝します。

マルチングは、土の表面をワラやバーク(樹皮)チップ、プラスチックフィルムなどで覆うことです。乾燥防止、雑草抑制、土の流出防止、地温調節などの効果があります。

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温暖地とは、年間を通して気温が比較的高く、冬期の降雪が少ない地域を指します。日本では西日本や太平洋側の地域が該当し、植栽スケジュールや作つけ品種の選定において、冷涼地や中間地とは異なる育成条件や病害虫対策が必要となります。

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寒冷地とは、平均気温が低く、冬季に雪や霜が多く降る地域を指し、園芸においては栽培可能な植物が限られる環境です。北海道や本州内陸部などが該当し、霜害や冬越しの難しさが課題になります。寒冷地では耐寒性の高い宿根草や球根植物が重宝され、逆に熱帯性植物は室内での越冬が必要です。栽培カレンダーも地域ごとに調整が必要で、気候に合った植物選びがガーデニング成功の鍵となります。

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株元とは、植物の茎が地面と接するあたり、根元の部分を指す言葉で、水やりやマルチング、病害虫の発生チェックなど園芸作業の上で注目すべき場所です。特に多年草や樹木では、株元の通気性や湿度が健康維持に大きく関係し、落ち葉や腐葉土のたまり過ぎによって蒸れたり、カビが発生するリスクもあるため注意が必要です。冬越しや剪定後の管理でもポイントになる場所です。

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支柱とは、植物が倒れたり茎が曲がったりするのを防ぐために立てる棒状の補助具。特に生長とともに高さが出る植物や、実が重くなる果菜類、つる性植物などに欠かせない資材です。ガーデニングでは、支柱の材質や形状によって景観にも影響を与えるため、景観に馴染む自然素材のものや色つきのものを選ぶことで、植物の生長を支えつつ庭の美しさとの両立を図ることができます。

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大苗とは、ある程度の生長を遂げた苗木のことを指し、特にバラや果樹の苗でよく使われる用語です。根がしっかりと張り、幹や枝が太くなっているため、植えつけ後の活着率が高く、すぐに花や果実を楽しむことができるメリットがあります。

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剪定とは、植物の不要な枝を切り取る作業のことです。形を整えたり、風通しをよくしたり、枝分かれを促したりする目的で行われます。剪定を行う目的に合った正しい時期に行うことが大事です。

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元肥とは、植物を植える前や植えつけ時に、あらかじめ土に混ぜ込んでおく肥料のことです。追肥とあわせて行うと元気に育ちます。

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休眠とは、植物が生長を一時的に停止して、寒さや乾燥などの不利な環境から身を守る生理状態のことを指します。球根や落葉樹などでは、冬の寒さに備えて活動を停止し、気温が上がると再び芽吹きます。休眠中の植物は水や肥料をそれほど必要としないため、過湿や過剰施肥を避けて管理することが大切です。休眠の有無や期間を知ることは、植え替えや剪定の適期を見極めるうえでも重要です。

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