定年後の「確定申告の落とし穴」申告しないと損する控除がたくさん!【シニアのはじめて確定申告#2・申告する控除編】
本記事は、バブル期に入社した会社を60歳で定年退職したばかりの女性が、今までなおざりにしてきたお金の問題あれこれに直面し、右往左往しながら、ファイナンシャルプランナーの先生にご教示いただきつつ、老後のお金問題を解決していく連載である。今回のテーマは確定申告<その2 申告する控除編>。2025年は3月17日が締め切りの喫緊の課題である。FPの矢澤理惠先生に教えを請います。
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昨年退職した人、確定申告しないと損!定年女子の目からウロコの驚愕体験【シニアのはじめて確定申告#1・申告する収入編】控除を受けるには申告が必要。でもどんな控除があって、私に当てはまるかが問題。思いつくままあれこれ聞いてみた
——矢澤先生、前回は申告すべき「収入」に関して詳しく教えていただきありがとうございました。で、ここからが本丸。控除で税務署を攻めていきたいです!
矢澤「発想がおかしいですね(笑)。確定申告とは正しく税金を納めるシステムで、払うべきものは払い、払いすぎたものは戻ってくること。攻めるとか守るのではなく、ありのまま申告するのですよ」
——失礼しました。では考えを改めて気になる項目についてお伺いします。昨年入金された定年退職金は控除の対象になりますか?
矢澤「いいえ。すでに企業で控除されているケースがほとんどのため控除の対象外です」
——支払った生命保険料は? 会社員時代の年末調整では申告してました。
矢澤「はい。生命保険料は控除の対象です。一般保険料と個人年金保険料、介護医療保険料の合計から最大12万円が控除になります。昨年末に保険会社から保険料控除証明書が届いているはずなので、その額を申告しましょう。そうそう地震保険料も5万円まで控除対象ですよ」
——国民健康保険の保険料が夫婦合算で請求書が来た場合は、申告の時にどう分けるのでしょう?
矢澤「通常は世帯主宛に来ますので、世帯主が費用を負担しているならそちらから控除します。世帯主でない人が払っているならそれぞれが振込んだという証明ができれば控除できます」
——フリマで売った手芸品とか副業で得た収入は? 申告は必要でしたよね。
矢澤「前回お話ししましたが、メインの勤務先以外で得た収入が合計20万円を超えた収入は申告が必要です。でもその収入を得るためにかかった経費を計上すると、その額は控除となります。例えばフリマで手作りバッグを売った場合、布代や会場までの交通費は経費で申請可能です」
——国民年金を任意で継続してます。これは控除の対象ですか?
矢澤「はい。対象となる人には、日本年金機構から控除証明書が届いているはずです。ただ、ねんきんネットで事前に電子送付希望の登録を行っていると紙では届かないで、ねんきんネットで調べてみましょう。
●令和6年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/koujo/R6koujo/soufu.html
——住民税は?
矢澤「申告自体不要なので控除の対象になりません」
——NISAやiDeCoの運用益は?
矢澤「これも申告自体不要なので控除の対象にはなりません」
——住宅ローンは?
矢澤「控除対象です。ただし条件があるので国税庁の確定申告サイトなどで確認しましょう」
●令和6年分 確定申告特集
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/index.htm
——ふるさと納税は?
矢澤「控除の対象ですが、ふるさと納税の寄付先が5カ所以内だとワンストップ特例制度の対象になるので、確定申告しなくても返戻金がありますよ」