65歳以上が体を横たえていいのは一日何時間まで?超えると「死亡率が上がる」驚きのデータを医師が解説
スマホのブルーライト、昼寝、夜遅い食事も不眠の原因に
病気ではない場合、どのように改善していったらいいのだろう。
「寝る前にスマホを使っていたり、明るい部屋で過ごしていたりすると寝つきが悪くなります。日中の活動が少ない、昼寝の時間が長すぎる、寝る前に食事をする、カフェインの含まれる飲み物や飲酒(深酒や寝酒)なども不眠の原因になります」
冒頭のような睡眠の悩みがある場合は、「まず生活習慣や睡眠環境を整えて、改善できるか試みましょう」と常喜さん。
「朝は決まった時間に起きて日光を浴び、朝食をとることで体内時計がリセットされます。スマートフォンのブルーライトは覚醒作用があるので、寝る2時間くらい前から使わないようにしましょう。LED照明も同様なので、眠る前に過ごす部屋はなるべく暗いほうがいいですね。夕食、特に炭水化物は遅くとも寝る2時間前までにとる。体をあたためると眠りにつきやすくなるので、寝る1~2時間前に、ぬるめのお風呂に入るといいでしょう」
寝室は暑すぎず、寒すぎない温度に。冬は18度以上、夏はエアコンを使う。寝間着も寝具もリラックスできるものを選びたい。
「日中はウォーキングや軽い筋トレなどの運動をし、昼寝をするのであれば30分以内に。夜は眠くなってから寝床に入ることが大事です。夜中に目が覚めてしまったときは寝床から出て、暗い部屋でリラックスして眠くなるのを待ちましょう」
生活習慣を改めても睡眠トラブルが解決しなければ、かかりつけ医に相談したり睡眠専門クリニックで受診を。
「夜間の不眠が続き、日中に精神や体に不調を感じて、生活に支障がある場合、不眠症と診断され、その人の状況に応じて睡眠導入薬が処方されます」
睡眠導入薬には眠りに関係するホルモンを利用して自然な眠気を強くするものと、脳の神経活動の機能を低下させるものがある。
「最近は覚醒作用のあるホルモン・オレキシンを抑えるタイプがメジャーです。悪夢や金縛りといった副作用が出ることもありますが、習慣性も依存性もありません」
数多くある「眠りをサポートする」とうたうサプリメントを利用するのは?
「試してみてもいいと思います。サプリの効果は1カ月くらい続けて飲んでみて判断を。ただ、甘さを感じるものは血糖値などに影響することがあるので、主治医と相談してからにしましょう」
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疲れやすい、手指がこわばる、汗をかきやすい……。これまで経験したことのない体調不良に戸惑う時期ですが、この時期の不調は「これって更年期?それとも単なる老化?」と判断がつきにくいものも多く、どう対処すればいいのか不安を抱える人も多数。
詳細はコチラ睡眠時間は6時間程度に。8時間以上の睡眠はリスク大
一日どのくらいの時間、眠るのがいいのだろうか。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、必要な夜間睡眠時間は年齢によって変化し、個人差はあるものの45歳では約6.5時間、65歳では約6時間。成人後は20年ごとに30分程度の割合で減少していく。
常喜さんは、「長く寝ようと思うことのほうにリスクがある」と言う。
「65歳以上では、一日のうち横になっている時間が8時間を超えると体の機能が衰え、死亡率が高くなるというデータがあります。9時間以上の睡眠はアルツハイマー病の発症リスクを高めるという研究報告もあります。昼寝や寝つくまでの時間、目覚めてから起き上がるまでの時間も合わせて、体を横たえるのは一日8時間までに抑えたいものです」
【ドクターから一言】
朝は決まった時間に起き、日中は光を浴びて体を動かす。横になる時間を減らし、友人などとの交流を楽しむのも大事です。
取材・文/田﨑佳子
※この記事は「ゆうゆう」2025年4月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
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常喜医院 院長
常喜眞理
じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。
じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。