【ガーデニング】たおやかに咲くオールドローズの魅力 マリー・アントワネットが愛したバラとは?
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吉原美奈子
みなさんはオールドローズというバラを知っていますか? 古い時代のバラで、香り豊かで、現代のモダンローズにはない花形や風情で魅了してくれます。今回はオールドローズの魅力をフランスや日本で撮影した写真とともにご紹介します。
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【ガーデニング】つるバラをきれいに誘引して、素敵なバラ庭を目ざす!一時期は忘れ去られたオールドローズ
オールドローズとは古い時代のバラという意味ですが、バラの分類上では1867年以前に誕生したバラを指します。この年は最初のハイブリッドティーローズ(HT) ‘ラ フランス’がフランスで誕生した年で、人々は四季咲き性のある大輪のHTに熱狂しました。
19世紀後半からの流れを受け、20世紀はまさにHTの世紀でもありました。HTは花色も多彩で、世界中で次々と大輪の新品種が誕生していきます。
オールドローズはすっかり忘れられた存在でした。
オールドローズの花形は花びらがぎゅっと密生するロゼット咲きや、お碗のようなカップ咲きが多く、マリー・アントワネットの肖像画やヴィンテージの洋食器の絵柄などに見ることができます。
『たおやかな』という形容詞が似合う花姿ですが、勢いのある20世紀の人々には古臭いイメージだったのかもしれません。
しかし、20世紀の終わり頃になると主にイギリスの育種家の間でオールドローズを見直す動きが始まります。
バラ研究家のグラハム・トーマスは多くのオールドローズを自身がデザインした庭園に植栽し、育種家のピーター・ビールスは保存していたオールドローズをカタログなどでも販売、またデビッド・オースチンはオールドローズの風情をもったモダンローズ『イングリッシュローズ』の育種に取り組みました。
豊かな香りもオールドローズの魅力
日本でも1990年頃からオールドローズに魅了されるバラ愛好家が増え、ちょっとしたブームが起こりました。
オールドローズの歴史は非常に長く、ガリカ系、ダマスク系、アルバ系、ケンティフォリア系など、さまざまな系統に分類されています。
ガリカ系は赤紫や紫ピンクの花色が多く、基本種のひとつロサ・ガリカオフィキナリスは薬用や香料用に利用されました。
よく知られる品種にはカーディナル ド リシュリュー、レダ、エンプレス ジョセフィーヌ、紫玉などがあります。
ロサ ダマッセナ、カザンリク、マダム アルディ、セルシアナなどに代表されるダマスク系はとにかく香りが豊か。誰もがイメージする甘く濃厚なバラの香りをもち、今も香料の原料として栽培されている品種もあります。
ケンティフォリア系は100枚の花弁を持つとされ、幾重にも重なり合うたっぷりとした花形が特徴。アルバ系は白や淡いピンクの花が多く、グレーを帯びた葉とよく調和して繊細な趣があります。
どちらも香りのよい品種が数多く揃っています。