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「それって『野口聡一さん』だからできませんか?」編集者のイジワル質問、どう答える…?【野口さん流・生き方のコツ】

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ゆうゆうtime編集部

一歩踏み出すのに「大変じゃない」時はない

――先ほど、自己評価が低い人が多いというお話があったのですが、やはり50 歳での定年前退職に踏み出す勇気を持つのは難しいです。

野口 実は皆さんが思っているのと違って、私も自分に自信があるわけではないんです。みなさんと同じで若いときは可能性はあるけれど実績はゼロで、歳をとってくると実績はあるけれど将来の可能性は徐々に減ってきます。その線がクロスするあたりで苦悩が生まれるわけです。若い方、 30 代ぐらいの方は可能性はあるけれど実績がない。そのことへの焦燥感。反対に年配の人の方はこれまでやってきたことは書けるし実績はある。
でも、それが今の価値につながっているのかという不安がある。もうこの事業は終わっちゃったしなとか、今は役に立たないしな、みたいな。
かつては大事なスキルだった「一太郎検定」を持っていても、もう「一太郎」はないし、ワープロすらもうなくなってしまっている。そうすると自己評価が下がってきてしまう。どの段階でも一歩踏み出すのは結構大変だと思います。

©合同会社未来圏 『宇宙飛行士・野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職』より

――本書の中で、転職してJAXAを離れた方たちを野口さんが訪ねるという箇所があります。みなさん後悔はしていないとお話しされているというのがすごく印象的でした。

野口 我々は常に現状維持バイアスの中で生きているので、結局は安定してればいいんです。安定は大事なんです。でも、動かないことが本当に安定ですか?ということなんです。なぜかというと、社会が変わってる。毎日通ってる会社が明日あるかどうか、それは市場経済によって決まるのであって、動かないと決めたことが安定を選択しているとは言えないんです。
次に、変わることは不安定です。普通に考えたら動いていることは不安定なので、そこに不安があり、変わることへの怖さもあります。これは本の中では使ってないですが、「怖さの実写化」っていう言葉があって、これは自分が怖いと思っていることを明文化する。
例えば暗闇は誰だって怖いですよね。何があるかわからない。だけどそこに懐中電灯を当てれば大したことない。だから一歩踏み出す不安や怖さを「実写化」して何が怖いかを一つ一つ言語化していくとその怖さの深さと、対応方法が見つかります。それが「棚卸し」の本当の意味だと思うんですよね。

――確かに不安な時は、今の状況や、やるべきことを書き出すとなぜか落ち着いたりします。

野口 そうそう「狼なんて怖くない」ってなりますよ。狼は怖いけど、本当に狼が出てきたら、すぐ写真を撮ってインスタにあげたらもう一躍有名人になれるし、怖いどころかよほどラッキーじゃないかって思いますよね。

――多面的な見かたができると違ってきますね。

野口 変化に対する怖さの実態はなんなのか。それは「実写化」してみたら実は大したことないんじゃないのか。そしてその「怖さの実写化」の裏返しは、自分のポジティブな能力の棚卸しになるかと思います。

『宇宙飛行士・野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職』

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