60代年収400万円。高額医療費制度を使ったのに約41万円の出費!?「老後貧乏」にならないために、今できること【鎌田實さん×荻原博子さん】
不健康は「老後貧乏」の原因になりかねない
鎌田 定年退職後の60代男性のケースがあります。この人は年金暮らしで、少しアルバイトもして、年収は400万円あります。ある日、脳梗塞で倒れてしまい、個室に33日間入院しました。高額療養費制度を使ったのですが、1回の入院で41.4万円の費用がかかっています。
荻原 高額療養費制度を使ったのに、そんなにかかったんですか?
鎌田 医療費の自己負担分は高額療養費制度の上限があるので9.8万円ですんだのですが、差額ベッド代が27.1万円、食費が4.5万円、合わせると月額41.4万円の出費になってしまった。治療費以外の出費があることは覚悟しなくちゃいけません。
荻原 差額ベッド代はかなり高額ですね。医療費の出費が増えると、その分、貯蓄もできなくなりますから、どんどんお金が出ていく悪循環に陥ってしまうんです。健康がいかに大切かを痛感しますね。
鎌田 それにいくら高額療養費制度で上限額が決まっているとはいえ、約9万円という金額はけっして安くはありません。治療が長期化すると、これを毎月払わなくちゃいけないので大変です。
荻原 具合が悪いと自分で料理するのも負担になりますよね。外食が増えたり、買ってきたものですませたり。移動するのもタクシーを使ったりして、本来は使わなくてすむ出費が増えてしまいがちです。
鎌田 だからね、50代、60代は病気にならないために、まずはメタボにならないことです。あとはがん検診をきちんと受けること。とくに子どもがまだ独立していない人は、ちゃんと健康診断やがん検診を受けて、生活習慣病の早期発見・早期治療を心がけてほしい。それがなによりも重要だと思っています。
荻原 いま子どもの学費は、1人あたり1千万円かかるといわれているんですよ。学費がかかる段階で働けなくなって教育ローンのお世話になると、その先の返済が大変になります。子どもの教育費も老後資金も、出どころは同じですから。
鎌田 そのとおり。健康は財産を守ってくれるんです。
Profile
荻原博子さん
おぎわら・ひろこ●経済ジャーナリスト。1954年長野県生まれ。
大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。生活に根ざした視点から経済の仕組みを、わかりやすく解説してくれることでも人気がある。
※この記事は『お金が貯まる健康習慣』鎌田實著・荻原博子著(主婦の友社刊)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
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