私らしく生きる 50代からの大人世代へ

記事ランキング マンガ 連載・特集

記憶力のゴールデンタイムは朝?夜? 脳内科医が教える【中高年のための記憶術】

公開日

更新日

加藤俊徳

「記憶力が悪くなったのは年齢のせい」と思っていませんか? 実はそれは大きな勘違い!でした。脳内科医 加藤俊徳先生の話題の新刊『衰えた脳を呼び覚ます すごい記憶力の鍛え方』から、一部を抜粋して5回に分けてお届けします。第4回は、世間でよく聞く「暗記法」は正しい?

▼前回はこちら▼

50代は脳のポテンシャルが目覚めるとき—今こそ学びの絶頂期 脳内科医 加藤俊徳先生が解説

世間でよく聞く「暗記法」は正しいのか

複数の脳番地を同時に刺激し、活性化させることで、記憶の定着に繫がることをお伝えしてきましたが、これまでの一般的な暗記法は脳から見て理にかなっているのでしょうか。本項では、誰しもやったことがある「暗記法」について、脳科学的な視点から解説をしていきます。

暗記法1 一夜漬けは効果があるの?
答え1 試験に受かっても身につかない

テストの前日に、覚えなければいけないことを一気に暗記し、本番に臨む「一夜漬け」。

完璧に覚えられたとはいえないまでも、一夜漬けでテストの点数をアップさせた経験がある人も少なくないでしょう。

海馬が保存する「短期記憶」は、覚える内容や海馬の状態によって個人差がありますが、2〜4週間ほどの期間は保持されると言われています。一夜漬けで覚えた内容は、次の日であれば覚えている可能性も高く、中間テストや期末テストなど、比較的勉強時間がとれない時に行われるようなテストでは、一定の効果があります。

しかし、司法試験や医師国家試験といった試験でも有効かと言われると、疑問があります。短期記憶だけでは対応できない分量があり、覚える情報の質も違うため、一夜漬けで弁護士や医師になることは難しいといえます。

情報が身につく・身にかないといういい方をすれば、一夜漬けで得た知識は「身につかない」ものであり、長期記憶や応用力が問われる試験におては適さないでしょう。

ただ、私も学生の頃にはテストの教科がおよそ20科目もある中で、学習しきれない部分を一夜漬けで乗り切ってきたことはありました。試験を切り抜け、1点でも多く点数を取るための「危機管理」の手段としては有効だと思います。

短期記憶の個人差はかなり大きく、ADHD (注意欠陥多動性障害)の特性のある人は、2〜4週間と言わず、一晩寝たら、昨夜解けた算数の問題が全くわからなかったり、立ち上がった瞬間に、やるべきことが頭から消えたりすることも多々あります。

もちろん、認知症の兆候が出ている人はいうまでもなく、さっき一緒に食べた食事のメニューすら記憶していないことが起こります。

暗記法2 語呂合わせはいいの?
答え2 イメージや音が記憶に結びつく

「鳴くよ(794)うぐいす平安京」「白紙(894)に戻そう遣唐使」「水兵リーベ僕の船」など、このような「語呂合わせ」は、理解系や思考系といった複数の脳番地を同時に刺激することができる優れた暗記法です。ただし、どちらかといえば聴覚記憶が発達している人に向いており、音読を繰り返すことによってより覚えやすくなるでしょう。

楽曲なら簡単に覚えられる聴覚系と伝達系の脳番地が強い人は、語呂合わせ暗記法が向いています。何が良いかというと、文の情報を短い音情報に「圧縮」 できる点にあります。さらに、語呂がついているため音情報からイメージしやす く、覚える内容少なくすることができ、その語呂自体をヒントにして情報を引き出せる利点があるでしょう。

暗記法3 朝活はいいの?
答え3 十分な睡眠の後は「効率よく」記憶できる時間帯

朝の勉強は夜よりも効率がいいと言われています。

つまり「朝活」は、朝起きられる人にとってはとても優れた勉強法であると言えます。

脳科学的に見ると、朝起きたばかりの脳はその日得た情報がほとんどない状態です。その日1日の記憶を一時的に溜め込んでおく記憶系脳番地の「ワーキングメモリ」が使われていない状態で、記憶の〝バケツ〞が空っぽの状態で学習をすると短期記憶がより入りやすいのです。

短期記憶のバケツは寝るとリセットされるというイメージで、昼間活動している間はずっとワーキングメモリが働いています。ワーキングメモリは一日の終わりに近づくほど疲労し、記憶系脳番地は「省エネモード」に入ってしまいます。

この時に伝達系や理解系脳番地がいくら頑張っても、記憶系脳番地が疲れていると記憶が定着しづらいことがあるのです。

もうひとつは、朝に記憶することによって、その日ずっと「思い出すチャンス」があることです。思い出す頻度が高ければ、記憶は定着しやすく、その点においても「朝活」は優れているといえるでしょう。

▼次回は、メモをとることは記憶力にとってよい?悪い?▼

※この記事は『衰えた脳を呼び覚ます すごい記憶力の鍛え方』加藤俊徳著(KADOKAWA)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

▼あわせて読みたい▼

>>その思い込みが“記憶力”を止めていた!?脳内科医がやさしく教える、中高年からの記憶術 >>朗報!「60歳からでも記憶力がすごい脳になる!?」脳内科医が教える【60歳からの脳の使い方】 >>今までのリュックの不満を解消!使い方自在の「たためるトートリュックS」がすごい

衰えた脳を呼び覚ます すごい記憶力の鍛え方

加藤俊徳著
KADOKAWA刊

脳をコントロールできれば「すごい記憶力」になれる!
最近「物忘れが多い」とお悩みの方、必読!
あなたの「記憶脳タイプ」を理解すれば、どんどん物事を覚えられます。

※「詳細はこちら」よりAmazonサイトに移動します

詳細はこちら

悩みのある人、必見! PR

50代からのデリケートゾーンのトラブルが、トイレでケアできるって本当?

50代からのデリケートゾーンのトラブルが、トイレでケアできるって本当?

かゆみやにおいなど、デリケートゾーンのトラブルは家族や友人にも相談しづらく悩ましいもの。そんな悩み対策に、トイレのビデが有効だということ、ご存知でしたか? その理由やおすすめのトイレについて、詳しくご紹介します。

詳細はこちら

PICK UP 編集部ピックアップ