記事ランキング マンガ 連載・特集

「いまだ手を出されていませんけど」発言に驚いた!2人の恋は現在進行形!?【続続・最後から二番目の恋】第3・4話レビュー

公開日

更新日

柚野木

小泉今日子×中井貴一の大ヒットシリーズ「続・続・最後から二番目の恋」。11年の時を経て、吉野千明と長倉和平の関係はどう変わった? そして変わらないものとは? 第3話と4話のレビューをお届けします。
※ネタバレにご注意ください

▼前回はこちら▼

ついに千明(小泉今日子)が動き出した!背中を押したのは典子(飯島直子)だと思う。【続・続・最後から二番目の恋】第2話レビュー

「和平少年エロ本号泣事件」が意外に泣けた

鎌倉市長の伊佐山良子(柴田理恵)から和平(中井貴一)にもちかけられた話のインパクトが大きくて、その前後の展開の印象が薄まりそうだが、まずは第3話で語られた和平の人となりが伺えるエピソードをおさえておきたい。

それは「和平少年エロ本号泣事件」だ。

学校帰りに手にした「エロ本」を隠し持っているのが母親に見つかったとき、こっぴどく叱られるのかと思いきや、そうではなかった。

年頃の男の子がこういったことに興味を持つのは当たり前だが、そこに描かれている女性像は“うそ”であることを知っておいてほしいと、母親は切々と息子に語った。親の思いを受け止めた和平は、自分が情けなくなり号泣してしまい、それを見た母親もまた思春期の息子への伝え方が間違っていたのかと戸惑い、泣いてしまう。

そしてそれ以来、男同士の猥談に加わることが苦手になったと語る和平。

このとき、和平は異性とのやりとりにおいても、ぐいぐいと積極的な行動に出られないことを千明(小泉今日子)に語る。野球のポジションだけに限らず、「キャッチャー長倉」はこれまでの人生を通して受け身の姿勢になりがちなのだ。

一方、千明は成瀬(三浦友和)から「診察後にランチを一緒に」と誘いを受け、そこで打ち明け話を聞かされる。10年前に亡くなった妻が千明とそっくりであったこと、だから千明を見たとき驚きのあまり、挙動がおかしくなってしまったこと。成瀬は正直に語り、謝る。その話を聞いて、自分が感じていたことに合点がいった千明は、「自分に気があるんじゃないかな」と勘違いしたことを正直に話すのだった。

第4話ではまた、気がかりだった真平(坂口憲二)や万理子(内田有紀)の抱えていた悩み明らかになる。

万理子は長くひきこもり状態の生活を続けてきたこともあり、自分が成長していった先に千明との別れの日が来ることを想像するだけで怖くて仕方がない。けれど、ゆっくり成長していけばいいという千明の言葉を受け止め、いつか二人で「心の成人式」を祝おうと約束する。

また、真平の様子がいつもと違ったのは、身近な人の死(主治医の死)に向き合うことへの恐怖心が大きな理由だった。持病をもつ真平が抱えている孤独感は簡単に分かるものではないが、大事なのは分かろうとする気持ちだと力説する家族。姉や兄の言葉はそれぞれ厳しくも愛情があふれていて、真平は自分の行為の身勝手さに気づいていく。

キョンキョンのピースサインに胸が熱くなる

さらにここでは時間をさかのぼって第3話の典子(飯島直子)と千明が語る場面についても触れておきたい。

ある夜、千明の家に転がり込んできた典子は専業主婦と働く独身女性の違いについて持論を述べる。もしかしたら自分のような専業主婦は闘っていないんじゃないか、と語る典子。それに対して千明は、女性は生き方に関係なく、誰もがそれぞれ違う場所で闘っているのではないかと自分の考えを伝える。

千明が独身の友人である荒木啓子(森口博子)や水野祥子(渡辺真起子)と一緒にいるとき、価値観の近い者同士で共感の言葉を口にすることが多いが、典子との二人の場面では少し違う。お互いの意見の相違が前提にあり、価値観の違いを乗り越えて、一歩踏み込んで理解しようと、言葉を探していくところに面白さがある。

典子に限らず、長倉家の人たちは千明がこれまでの人生で出会ってこなかったような価値観の持ち主だろう。10年以上前に、千明が鎌倉に越してみようかと行動に移したところから交流が始まり、そこから互いに影響し合い、ケンカもして、キャッチボールをするかのように会話を重ねて、深く関わり合うようになっていまに至っている。

第4話では、長野に住む母親(有里子)を安心させるべく、千明は長倉家の人をはじめ、親しい人たちとの日常風景をせっせと撮影していくのだが、そこで興味深い場面があった。

千明が和平と鎌倉の海をバックにツーショットの写真を撮るとき、和平のことを「優柔不断な鎌倉男子」とデート中と言い、続いて「いまだ手を出されていませんけど」という言葉が飛び出すのだ。

もうひとつ、第3話の居酒屋シーンでの発言も気になった。

和平が自分のことをキャッチャータイプであると話したときに、すかさず千明が「恋愛においてはキャッチャーだけじゃだめなんですよ」というところ。

そう、二人の恋は現在進行形であることを忘れちゃいけない。放送枠は「月9」なんだし。

おまけに最近、千明の前に現れた成瀬は、亡き妻のことを「世界で一番綺麗な人」だと思っていて、この人物はエースで4番だったピッチャータイプ。この成瀬の存在が、和平の心をゆさぶってくることを祈りたい。

そして慎重派の和平は、伊佐山市長から自分の後継者(鎌倉市長)として、立候補するようにと誘いを受けている。「ノー」の即答は受け付けてもらえない。

まずは誘われたことに誇りを持つようにと言い「期待されている時間を味わうと、少し世界が違ってみえるはずですよ」と語る市長の言葉には、妙な説得力があると思うのだが、みなさんはどう思われただろうか。

さて、今回も最後に余談を。第3話の終盤、診察室で健診の結果を成瀬に見せて、ほこらしげにピースサインを出したときのキョンキョン。やはりこの人は本物のアイドルです!

▼次回はこちら▼

>>「森のくまさん」防犯ベル炸裂!和平と千明、ついに“あの距離”に変化?【続続・最後から二番目の恋】第5話レビュー

▼あわせて読みたい▼

>>ついにスタート!!【続・続・最後から二番目の恋】千明と和平のつながりの確かさを教えてくれたコロナ禍の描写にほっこり!第1話レビュー >>【べらぼう】田沼意次は松平武元や徳川家基を殺したのか? 平賀源内との関係は?

PICK UP 編集部ピックアップ

画面トップへ移動