【べらぼう】蔦重(横浜流星)の妻・てい(橋本愛)のメガネが個性的! 江戸時代のメガネ事情は?
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鷹橋 忍
「天明の浅間焼け」と呼ばれた浅間山の噴火
第25回「灰の雨降る日本橋」では、浅間山の噴火が描かれました。
浅間山は、群馬県吾妻郡嬬恋村と長野県北佐久郡軽井沢町及び御代田町との境にそびえる日本の代表的な活火山です。標高2568メートルの浅間山は、古来、火山活動が活発で、ほぼ700年の周期により大噴火を繰り返してきました(石弘之『歴史を変えた火山噴火―自然災害の環境史―』)。
そのなかで最も新しく、最大級とされるのが「天明の浅間焼け」と呼ばれる、ドラマで描かれた天明3年(1783)の大噴火です。
甚大な被害
天明3年の浅間山噴火は、4月9日から始まりました。6月下旬より噴火の頻度が増し、7月5日、もしくは6日からは、噴火と火砕流が繰り返し起こっています(安藤優一郎『田沼意次 汚名を着せられた改革者』)。
7月7日には前触れの爆発があり、翌7月8日の午前10時頃、未曾有の大爆発が起きたといいます(山田武麿『群馬の歴史』)。山腹の鎌原(かんばら)村(現在の群馬県嬬恋村)は火砕流にのまれ、人口597人のうち466人が命を落とすなど(石弘之『歴史を変えた火山噴火―自然災害の環境史―』)、甚大な被害を受けています。
また、関東一円が降灰に見舞われました。これは田畑を荒廃させ、凶作を招きます。
米価の高騰
浅間山噴火の降灰により、上野(こうずけ/群馬県)、特に西上野は「地に青草なし」と称されるほどの被害を受けました。農作物は全滅し、中山道をはじめ各街道の交通も途絶えました。流通がストップしたため、米をはじめ物価は高騰します。
一方で商人は、米価をつり上げて利益を上げようと、米を買い占めました。西上野の農民たちは激怒し、天明3年9月に「上信騒動」と呼ばれる一揆を起こし、商人たちの居宅を打ち壊します。これに信濃の農民も加わりましたが、同年10月に武力によって鎮圧されました。
江戸でも、浅間山大噴火の前年にあたる天明2年(1782)から、冷害による深刻な凶作が発生していた影響で、米価は少しずつ上がっていましたが、浅間山の噴火により高騰が加速されていきます。田沼意次を頂点とする幕府はさまざまな対応を図るも、効果はあまり現われませんでした。
次回のドラマでは、蔦重一家が米価の高騰に悩む模様が描かれるようです。
江戸近郊でも米価は高騰し、天明4年(1748)2月には一揆が勃発します。一揆は鎮圧されるも、米価の高騰は収まらず、江戸は殺伐とした空気に包まれます(以上、安藤優一郎『蔦屋重三郎と田沼時代の謎』)。
そんななか、田沼政権を揺るがす大事件が起きることになります。ドラマでは第27回あたりでその様子が描かれるようです。
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