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元妻を長女とともに自宅で看取った【宮川一朗太さんのターニングポイント#1】初共演は松田優作と聞いてぶっ飛ぶ!

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憧れの松田優作との共演を果たすことに

——森田芳光監督のことは知っていたのですか?

いいえ、監督の名前も知らない、共演者も知らない、オーディションに落ちてばかりの時期だったので、もう本当に適当に試験を受けたんですよ。

何か質問されてもいい加減な答えでやる気も見せず、おもしろいことも言わず、他の子より目立とうともせず。でも、『家族ゲーム』の茂之という高校受験生の役には、それがぴったりだったんだそうです。

本来の自分はそういう感じではなく、真面目に頑張るほうなので(笑)。オーディションをちゃんと受けていたら、監督の目にも止まらず、たぶん違う人に決まったんじゃないでしょうか。

——そして、松田優作さんと共演されるわけですが……

実はその時にはまだ松田優作さんが出るっていうのは発表されていなかったんですよ。だから、オーディションが進んで決まって、その後、松田優作さんだと発表されて、ぶっ飛びましたね(笑)。

もうそれは、当時男子中高生の憧れの的の松田優作さんですからね。「太陽にほえろ」も「探偵物語」も当時の男子に大人気でしたから。学校でも「お前すげえな、松田優作と共演するのかよ!」なんてすごいすごい言われまして。学校の期末試験のときに、試験監督で見回ってくる先生が、僕のところに来て顔をのぞきこんで、「あー、君か、映画に出るのは……」みたいな(笑)。

——学校で人気者になりましたね。ご両親はいかがでしたか?

「受験はどうするんだ?」と心配していた家族の態度もがらりとかわりましたね。親父は当時店をやっていましたので、僕にお金を渡して「これで映画のチケットを買ってこい」なんてよく言っていました。『家族ゲーム』のチケットをお店のお客さんに配っていたようです。

両親は息子の希望が叶って喜んでくれていたのでしょうね。

——憧れの松田優作さんとお仕事をされて、緊張しましたか。芝居の仕方を教えてもらったりとかはありましたか?

撮影が始まる前のご挨拶からもちろん緊張しました。薄暗い店内でサングラスをかけて、ぼそぼそと、あのままの雰囲気で話すんです。正直初対面は怖かったですけど(笑)。一流のオーラを感じましたね。

芝居上のコミュニケーションはありましたが、風変わりな家庭教師とその生徒という役柄でしたし、撮影中も仲良くしたりすることはせず、一定の距離を保った関係でした。その緊張感が映画にも良い形で反映されたのではと思います。

優作さんが休憩時間に、当日の撮影分のはるか先のセリフを僕に言い出したことがあったんです。当時の僕は初めての仕事ですから、最初から全部のセリフを頭に入れていたので、それに返すことができましたが、あれに答えられなかったらどうなっていたのかな、と今でも緊張します。

宮川一朗太さんのターニングポイント①
男子校入学。俳優養成所に入所、オーディションで目立とうとしなかったことが、かえって役のキャラにぴったりと合格! 映画デビューで俳優人生のスタートを切る。

▼次回は念願のデビュー後。仕事や学業との両立、そして23歳での結婚についてうかがいます。▼

宮川一朗太さん Profile

みやかわいちろうた⚫️1966年3月25日生まれ。早稲田大学中退。漢字検定準一級。1983年映画『家族ゲーム』で映画デビュー、1984年日本アカデミー賞、優秀新人賞を受賞。『青い瞳の聖ライフ』『ヤヌスの鏡』『一千兆円の身代金』『半沢直樹』『光る君へ』など多くのドラマに出演。映画では1987年『ゴキブリたちの黄昏』、1988年『独身アパート どくだみ荘』、2015年『ソロモンの偽証』など。趣味は競馬 、麻雀、パソコン、映画鑑賞。俳優教育にも力を注ぎ、2021年より「いち塾」主宰。趣味は競馬・麻雀・映画鑑賞。

撮影/三角茉由

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