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認知症の先にある「介護」問題。知らないとまずい「段階」とは?【『認知症になる人ならない人』の山田悠史先生が解説】

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山田悠史

少し複雑な行動が難しくなったら

認知症の初期段階では、まずIADLと呼ばれる複雑な動作が難しくなります。例えば着替えや排泄などと比べると、金銭管理や服薬管理といった動作は、より高度な認知機能が必要とされるため、認知症の初期から問題になりやすいのです。これらは認知症でなくても煩雑に感じることがある作業ですが、認知症が進行すると段取りをつける力や記憶力が低下し、こなすのが大変になります

しかし、主にIADLの障害の段階では、無理に特別な介護用品を揃えなくても、NPOや民間企業、住民ボランティアなど多様な主体が提供する地域の生活支援サービスや家族の協力で乗り切れるケースが多いのも事実です。

例えば、買い物が大変であればネットスーパーや生協などの宅配サービスを利用し、料理の一部を外注したり簡単な総菜を活用したりするなど、工夫の幅は意外と広いものです。

同居の家族がいない場合には、生活の支援に訪問介護が必要になるでしょう。訪問介護には、その必要度に応じて短時間の手伝いから24時間の住み込みヘルパーまで幅広いサービスがありますが、この段階では掃除や洗濯といった、手助けが必要な家事に限ったサービスが必要になるでしょう。薬の管理については、看護師が自宅を訪問する訪問看護も活用できます

また、この段階で焦って「自宅の大きな改修工事をしなきゃいけないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、その必要がまったくないケースも少なくありません。転倒のリスクがある場合や、玄関の段差が大きいなど、明らかに動線に不便を感じる部分があれば別ですが、基本的には本人の状態に見合った時期に行えば十分です。

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