築35年の団地に住む理由。「絶対”ない”と思った」家だったけど…身の丈にあった暮らしと幸せの見つけ方
自分たちが感じる幸せは自分たちだけがわかればいい
朝、カーテンを開けると、緑生い茂る欅や銀杏の木が、春は美しい花を咲かせる桜が見える。
「以前は50代ならお金をかけた“いい家”に住むものという思い込みがあったし、結婚当初は貧乏だったわが家もそれなりにお金を使えるようになって、家賃が高いおしゃれな家に住もうと考えていました。物件を巡りながら、広いキッチンで料理をして、ここに素敵なソファを置いて……なんて夢が広がって。でも内見の日に夫と『私たちは見栄を張っているのかな』と話しました。『身の丈に合った生活があるんじゃないか』『一度、このくらいの家に住んだほうが楽になれるかも』って。それで、いわゆる“いい家”を望んでいたわけではないと気づいたんです。都内なのに自然豊かで、駅からは遠いけれど運動を兼ねて歩くのも楽しい。オートロックがなくてもご近所づき合いがあるから安心です。大切なのは心地よく、健やかに暮らせること。自分たちなりの豊かさや幸せがあって、それはふたりだけがわかっていればいいと思うようになりました。前と比べて家賃は約3分の2になりましたが贅沢はせず、差額はできる限り貯蓄に回しています。夫の異動で数年後には再び引っ越しですが、次も古い団地に住みたいです」
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撮影/土屋哲朗 構成・文/増田綾子
※この記事は「ゆうゆう」2025年9月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
