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「たとえ本心でなくとも言ってみてください」心理学者が教える、【イライラ解消の言葉】

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内藤誼人

思っていなくても「幸せ」「うれしい」を口癖にすると幸福度が高まる

いつもイライラして不機嫌な人は、周りにも不機嫌オーラをまき散らし、そんなつもりはなくても他人に恐怖感を与えています。最近では「フキハラ=不機嫌ハラスメント」という言葉も登場。不機嫌な態度そのものが、家庭や職場でのハラスメントとして認識されつつあります。

そんな精神状態では、仕事も人間関係もうまくいきません。イライラや怒りっぽさは、日常のあちこちでトラブルを招きやすく、自分の評価も下げてしまいます。

米国シカゴにあるデポール大学のダグラス・セラーは、202名に性格テストを実施し、過去10年間の交通違反や事故歴と照合して分析しました。その結果、怒りっぽい性格の人ほどスピード違反や割り込み運転など乱暴な運転をしやすく、実際の事故の件数も多いことがわかりました。

つまり、感情をうまくコントロールできない傾向は、単なる気分の問題にとどまらず、 現実の行動パターンや安全性にまで影響を及ぼす、ということです。

もし「なんだか最近、すぐイライラしてしまう」「人との衝突が増えてきた」と感じ ているなら、ぜひ意識してみてほしいことがあります。

それは、ポジティブな言葉を先に使うことです。

たとえ本心ではそう思っていなくても、「幸せだな」「ありがたい」「うれしい」「ラッキー」といった言葉を、口癖のように自分に言い聞かせてみましょう。最初は違和感があっても、くり返すうちに、脳がその言葉につられるように感情を上書きしていきます。

これはいわば、言葉による自己暗示。言葉が先で、気分があとからついてくる。そんな仕組みは、心理学でも支持されています。

さらに、表情も大切なカギになります。たとえ作り笑いでも、笑顔の表情をつくるだけで、脳は「今は楽しい、うれしい状態なんだ」と錯覚し、リラックスモードに切り替えることがわかっています。

これは、「フェイシャル・フィードバック」と呼ばれる心理作用で、実際に多くの研究でも報告されています。

たとえば、米国カンザス大学のタラ・クラフトは、箸を口にくわえて笑顔の形をつくるだけで、ストレスが緩和されることを実証しました。

表情が感情をつくり出す。これは、思っている以上に強力な心のテクニックと言えるでしょう。

うまくいかないとき、感情を変えようとするのは心理学の専門家であっても難しいものです。でも、表情や言葉なら、本心とは違っていても手軽に変えることができます。心は怒りで真っ黒でも、口角を上げるだけで、脳は「笑っているんだ」と錯覚してくれます。どん底の気分でも、セリフを読んでいるつもりで「最高、幸せ」と口に出すことは、そう難しくはないはずです。

イライラしたときこそ、あえて笑顔をつくる。
気分が乗らない日ほど、「幸せ」と口に出してみる。

その逆説的な習慣が、気分を落ち着け、トラブルを遠ざけ、毎日をやわらかくしてくれます。

言葉と表情を少しだけ意識してみること。それは、誰にでもできる心の整え方です。続けるうちに、性格もだんだとやわらかくなり、やがて意識しなくても、自然と笑顔や明るい言葉がこぼれるようになります。

イラスト/髙栁浩太郎

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※この記事は『くよくよしたら手を洗おう。』内藤誼人著(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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