【こんなことで人は死ぬ】「風邪をひいただけなのに…」高齢者の意外な死因。法医学者の結論は?
何気ない日常の中に、思いがけない“死の落とし穴”が潜んでいるかもしれません。大切な人が、そして自分が、そんな危険に巻き込まれないために——。話題の新刊『こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』(高木徹也著・三笠書房)から、そのヒントを抜粋してお届けします。第4回は、「風邪をこじらせて死ぬ!?」
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>>肌寒くなってくる時期の「お風呂でのウトウト」が命取りに!法医学者が警告する入浴中の重大リスク風邪をこじらせて死ぬ!?
検案や解剖の依頼でよくあるのは、「数日前からほぼ寝たきり状態の高齢者が、布団の中で亡くなっているのを家族が発見しました」 というケースです。
詳しく話を聞くと、「それまで比較的元気に過ごしていたが、数日前に風邪をひいてからほぼ寝たきりだった」とか「ごはんも食べなくなって衰弱していたようだ」といった話が出てきます。
冬場は、年齢問わず風邪が流行ります。特にインフルエンザウイルスによる感染は、高熱や関節痛などの症状を引き起こすので病院を受診することも多いはずです。また世界的に大流行した新型コロナウイルスによる感染は、特に糖尿病など、持病のある高齢者が重篤な肺炎を引き起こして亡くなることもあります。
そのため、亡くなる前に風邪をひいていたと疑われるケースでは、解剖検査中にインフルエンザウイルスA・Bと新型コロナウイルスの検査を必ず行ないます。
ところが、いざ解剖してみると、意外にも体内に常在している「黄色ブドウ球菌」や「大腸菌」などの細菌による気管支炎や肺炎が原因だったりするのです。
活動的に行動している高齢者は、まだまだ免疫機能も元気です。しかし、些細な病気やケガであっても、それを契機に寝たきり状態になると、免疫機能がガクッと低下します。すると、常に身体の中にいる細菌によって感染症を引き起こしてしまうことがあるのです。これを「日和見感染」といい、高齢者だけでなく、抗がん剤やステロイド薬など免疫機能を低下させるような薬を摂取している人にも起こり得ます。
高齢者の場合、寝たきりの状態では不衛生になりやすいことも、このような感染を引き起こす要因の一つになります。特におむつをすると、自身の便の中に潜む大腸菌が悪さをするのです。
