【永瀬正敏さん&髙橋海人さん】撮影裏語る「髙橋くんが来るのが楽しみでしたし、可愛いですよね(笑)」
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志賀佳織
今も絶大な人気を誇る江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎。その娘で、父とともに生き、自らも絵師となった娘・応為の人生を描いた映画が間もなく公開となる。タイトルは『おーい、応為』。作品中で北斎を演じる永瀬正敏さんと、そんな二人を程よい距離で見守る北斎の弟子・善次郎こと渓斎英泉を演じる髙橋海人さんに、作品に込めた思い、それぞれの役柄を演じて今思うことについて伺いました。
プロフィール
永瀬正敏さん 俳優
ながせ・まさとし●1966年宮崎県生まれ。
83年『ションベン・ライダー』で映画デビュー。
以後、国内外の映画に多数出演する。
91年『息子』で8つの主演男優賞を受賞。
『あん』『パターソン』『光』とアジア人俳優として初めてカンヌ国際映画祭に3年連続で出演作が公式選出された。
近作に『箱男』『国宝』など。写真家としても活躍中。
髙橋海人さん King & Prince
たかはし・かいと●1999年神奈川県生まれ。
2018年アイドルグループKing & Princeとしてシングル「シンデレラガール」でCDデビュー。
グループ活動と並行して、俳優としても幅広く活躍。
23年、ドラマ「だが、情熱はある」で第116回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演男優賞を受賞。
19年には少女漫画家としてもデビューを果たした。
北斎とその弟子実在の人物に迫った日々
江戸時代後期の浮世絵師で、今も世界的に高い人気を誇る葛飾北斎。70年間にわたって森羅万象を描いたこの伝説の天才絵師には、やはり絵を志す「お栄」という娘がいた。いつも北斎に「おーい、おーい」と呼ばれることから後に「葛飾応為(おうい)」という号を授かり、江戸の芸術界でその才能を発揮していくことになるのだが、その応為の人生を描いた映画がこのほど完成した。
応為を演じるのは長澤まさみさん。家事の類は苦手だが、豪胆で自由に絵に生きる姿が鮮やかだ。そして、その応為の父であり師である北斎を永瀬正敏さんが、北斎の門弟の一人で、応為と友情を交わす実在の絵師・善次郎(渓斎英泉/けいさいえいせん)を髙橋海人さんが、それぞれ鬼気迫る迫力で独自の世界観をつくり上げて演じている。
「これはすごいなと思いましたね。それこそ北斎さんが描いた富士山みたいに乗り越えて行くのが大変な長い道のりだろうなと思いつつも、役者としてもうやりがいしかないというか。楽しみでしたね」
そう永瀬さんが最初の印象を述べると、今回が時代劇初出演の髙橋さんもその喜びを語る。
「僕も絵を描くので、もちろん北斎の存在は知っていましたし、絵の世界を描く映画に出られるのはすごく嬉しいなと思いました。そこに永瀬さんと長澤さんと共演と伺ったら、これは食らいついていくしかないと。英泉のこともすぐに調べました」
物語は、応為が嫁ぎ先から北斎の住む家へ出戻って来たところから始まるのだが、足の踏み場もないぐらい散らかった狭い家で、北斎も応為も、机ではなく畳にうつ伏せになってひたすら絵を描いていく。時に激しくぶつかり合いながらも、その師弟関係の根っこは決して揺るがない。
「まあ似ているんでしょうね。絵に対する思いとか、気持ちの表現が下手くそなところも含めて。それだけに、北斎は内心、応為のことが可愛くて仕方なかったんだと思うんですよ。応為も応為で、父としての北斎には反発しながらも、一転、師匠の助言となると素直に聞き入れる。その関係性は羨ましい気もしますね」
