記事ランキング マンガ 連載・特集

【尾上右近さん】もはや”依存”と語る歌舞伎の魔力。新たに『八雲立つ』でつかんだ境地

公開日

更新日

恩田貴子

失敗したっていい。そんな在り方を後輩たちに見せていけたら

『八雲立つ』の舞台では、25年の穢(けが)れを払い、新たな年を寿(ことほ)ぐお祓(はら)いが神職の手により執り行われる。そこで26年の抱負を尋ねると……。

「これまでは求められたことに応える時期が長かったのですが、少しずつ立場も変わり、自分軸で判断できることが増えてきました。26年は自分のペースで活動し、心を満たしていきたいですね。テーマは『満ち満ちる』かな」

その視線の先には、彼が切り開く道に続くであろう、後輩たちの姿も見えている。

「最近、後輩たちに人としての穏やかさを見せたいと思うようになったんです。僕は『失敗は許されない』という空気を浴びてきたけれど、失敗したっていいじゃないかと思うんです。いつか自分が旗振り役を担うときが来たら、『失敗もいいよね』という旗の振り方をしていきたい。失敗も愛されるような空気があれば、表現の幅がもっと広がると思うから」

【Information】J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『⼋雲⽴つ』

日本の神々の物語から荒魂と八岐大蛇を題材に、ヴァイオリンと和楽器の音色、そして石見神楽の大蛇の舞が響き合う、古典芸能と音楽が融合した詩楽劇。大蛇と化した岩長姫とスサノオが対峙し、岩長姫の闇が断たれたとき、世界にどんな変化が訪れるのか。舞台上で衣裳をまとい、隈取を施し、大太刀を手に荒事を演じる右近さんの姿は必見。

●構成・演出/尾上菊之丞 
●脚本/⼾部和久
●出演/尾上右近、紅 ゆずる、佐藤流司、和⽥琢磨、梅⽥彩佳、川井郁⼦(ヴァイオリン)、⽯⾒神楽 万雷、尾上菊之丞
●日程/12⽉29⽇(月)~31⽇(水)
●会場/東京国際フォーラム ホールB7
●公式サイト/https://yakumo2025.com
㉄stage.contact55@gmail.com

▼あわせて読みたい▼

>>【舘 ひろしさん×眞栄田郷敦さん】年齢差50歳!「芝居はね、上手くなったら ダメなんだよ」舘さんからもらった意外な言葉 >>【人間国宝・坂東玉三郎】作者が感じた「これは人間じゃない」その第一印象とは? >>坂東玉三郎さんが語る六条御息所の嫉妬心と哀切、美しき『源氏物語』シネマ歌舞伎の魅力

撮影/池田博美 
スタイリング/三島和也(Tatanca) 
ヘア&メイク/Storm(Linx)

※この記事は「ゆうゆう」2026年1月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

画面トップへ移動