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ロックミュージシャン・吉井和哉「この映画を撮るためにアーティストになったのかなと思ったくらい」――ドキュメンタリー映画『みらいのうた』を通して語りたいストーリー

ロックミュージシャン・吉井和哉「この映画を撮るためにアーティストになったのかなと思ったくらい」――ドキュメンタリー映画『みらいのうた』を通して語りたいストーリー

撮影/横山マサト

ドキュメンタリー映画『みらいのうた』が全国公開中。本作は密着3年、吉井和哉という人間と音楽のルーツを辿り、がん告知から東京ドームでの復活ライブまでの裏側を記録した作品。映画に懸ける想いや、病気との向き合い方について伺いました。

ロックミュージシャン・吉井和哉「この映画を撮るためにアーティストになったのかなと思ったくらい」――ドキュメンタリー映画『みらいのうた』を通して語りたいストーリー(画像2)

撮影/横山マサト

ロックミュージシャン・吉井和哉「この映画を撮るためにアーティストになったのかなと思ったくらい」――ドキュメンタリー映画『みらいのうた』を通して語りたいストーリー(画像3)

撮影/横山マサト

プロフィール

吉井和哉さん THE YELLOW MONKEY

よしい・かずや●1966年、東京都生まれ、静岡県育ち。
88年にロックバンド・THE YELLOW MONKEYを結成し、92年にメジャーデビュー。90年代に「JAM」「バラ色の日々」などのヒットで一世を風靡し、圧倒的な存在感で世代を超えて愛され、第一線を走り続ける。
公式サイト https://www.yoshiikazuya.com

「まさか僕が、と思いました。しかもよりによって声帯」

1992年にメジャーデビューし、今なお多くの人々を魅了するロックミュージシャン・吉井和哉さん。現在、全国公開中のドキュメンタリー映画『みらいのうた』は、吉井さんをこの世界に導いた“恩師”ともいえる先輩・EROさんと40年ぶりにセッションをしようと声をかけた矢先自分も喉頭がんであることが発覚する。

「知ったときはやっぱり『まさか僕が』と思いました。しかもよりによって声帯。信じたくないと思ったけど、どんどん仕事が舞い込んできていた時期だったから、逆に覚醒して。早期だったし、絶対治ると信じていました。先生が『吉井さんは医療のレールの上にちゃんと乗っかってるから安心して』って言いながら肩に手を置いてくれたんです。それがすごく安心感をもたらしてくれて。『長年かけた医療のレールにあなたちゃんと乗っかっているから。外すことはまずないから』って」

信頼できる医師との出会いを経て、まずは治療の計画が立てられる。吉井さんの場合は、毎日病院に行かなければならないものだったという。

「放射線治療をすることになったんですが、33回あるので毎日病院に来てくださいと言われて。当時はコロナ禍だったので、“コロナになっちゃいけない”とすごく緊迫した日々を過ごしました」

「想いがある周波数になって、がんを治してくれると信じてた」

コロナ禍という緊張感のある時期に放射線治療がスタート。その様子はドキュメンタリーの中にも記録として残っている。

「先生はスペシャリストで、声帯や他の部位に負担がかからないよう、超ピンポイントで当ててくださって。照射をするにあたり、顔型をとって専用の仮面みたいなものを作るんです。位置がずれないように胸に十字架も刻んで。『ちくしょう、このマスクおもしれぇな、アイスホッケーみたいで。これ小さいキーホルダーにして、いつか物販で売ってやろうかな(笑)』なんて思ったり。

ユーモアを交えながら、明るく語る吉井さん。映画でもその様子がバンドメンバーから語られている。大変なことをポジティブに変換できるコツなどはあるのだろうか。

「コツなんかないですよ。まだ声も出るし、この状況に感謝するしかない。救いがあるうちは、あんまりクヨクヨ悩んでいてもしょうがないかな。“病は気から”と言うし。密着のカメラが回っていて、東京ドームの開演までのタイマーが回り始めたからには、火事場のクソ力って体の中で本当に起こると思ったんです。あとやっぱりオーディエンスの波動。年をとったからかもしれないけれど、祈りとか、成功してほしいという想いがある周波数になって、がんを治してくれるんじゃないかと心から信じてた。僕ががんになったタイミングにツアーやドームがあったこと、カメラが回っててすごくよかったなって。よかったというか、助かったんだろうなって思いました。嘘みたいにキャストやセット、そしてストーリーまでも仕上がって。逆にこの映画を撮るためにがんになったのかと思ったくらい。東京ドームの景色は、ちょっとこの世のものじゃないくらい神々しかったです。翌日にライブを見にきてくれていた母親と電話で話したんですけど、『初めてこの人はなんだろうと思った』と言われて。ついに認知症かなと思ったんだけど(笑)、それくらい神がかっていたのかもしれないです」

【Information】映画『みらいのうた』

密着期間3年を超えるドキュメンタリー作品。ロックミュージシャン吉井和哉と彼を音楽の世界に引き入れた“恩師”との40年ぶりのセッションのはずが――。同時期に病に倒れる。限りある“いま”を生きるすべての者に響く人生と音楽のドキュメンタリー。

●監督・撮影・編集/エリザベス宮地
●出演/吉井和哉、ERO
●全国公開中
●製作幹事・配給/murmur
●配給協力/ティ・ジョイ
©2025「みらいのうた」製作委員会

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