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【ザ・タイガース】旋風のその先に。別れの裏にあった、知られざる物語[79歳・瞳みのるさんのターニングポイント#2]

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藤岡眞澄

あの時代を知る人なら、きっと胸が熱くなる。グループサウンズの黄金期を駆け抜けた「ザ・タイガース」。その中で、仲間をまとめ、前へ前へと歩いてきたのが、瞳みのるさんでした。解散後、彼が選んだのは音楽とは異なる道——。いくつもの決断が、瞳さんの人生を形づくっています。第2回は、ザ・タイガース全盛期と解散への道。

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>>「本当は沢田をいれたくなかった…」その理由とは!?ザ・タイガース結成までの意外な物語【79歳・瞳みのるさんのターニングポイント#1】

岸部の低音、沢田の中音、加橋の高音

——「ファニーズ」は渡辺プロダクション所属になり、1966年11月に京都から上京することになります。

京都の府立植物園でファンが「ファニーズお別れ会」を開いてくれたり、京都駅の新幹線ホームに、ファンが50人余りも詰めかけて見送ってくれたのはうれしかったですね。

——関西では人気でも、東京で通用するのか……という不安はありませんでしたか?

芸能界、右も左もわからなかったので、不安はもちろんありました。

でも、デビュー直前の1月には、東京ではほぼ無名の「ザ・タイガース」に、「日劇ウエスタン・カーニバル」で“トリ”の1つ前で演奏するチャンスがもらえたんです。(内田)裕也さんの力だと思うけれど、毎回、ステージが終わる度にファンの数が増えている、回を追うごとに歓声が大きくなっていく……。そんな手ごたえがありました。

——上京3カ月もたたない1967年2月5日には「ザ・タイガース」としてデビュー。目まぐるしい日々だったのではありませんか?

デビュー曲『僕のマリー』のジャケット写真で着ているカーキ色のミリタリーは、「ファニーズ」時代に、「全関西ロックバンド・コンテスト」で優勝した賞金5万円でみんなで作った自前のユニフォームなんです。

2曲目の『シーサイド・バウンド』のジャケットも、衣装はすべて私服。いきなり三浦海岸に連れていかれて、僕以外はカメラマンに「ジャンプして!」と言われて撮ったのが、あのジャケ写です。

——ロケ場所は海岸、衣装も自前、ですか?

つまりは、渡辺プロダクションが僕らにあまり期待していなかった、ということ。でも、お金もかけずに売れたので、「ザ・タイガース」はコスト・パフォーマンスが最高のバンド。会社にとっては“金の卵を産むニワトリ”だった、ということです。

でも、僕は「ザ・タイガース」が売れたいちばんの理由は、コーラスがGSの中でズバ抜けたバンドだったからだと思っているんです。

岸部の低音、沢田の中音、加橋の高音—— このハーモニーは他のGSバンドには出せない唯一無二の魅力だったと思います。

——そして、デビュー3カ月後には『シーサイド・バウンド』で一気に人気爆発。テレビで見ない日はない多忙な日々が始まりますね。

その、売れた後がたいへんでした。

理由の1つ目は、時間がない。

2つ目は、やりたい音楽ができない。「ファニーズ」では100%洋楽をやってきたのに、東京に出てきたら、歌謡曲に近いような曲をやらされたので、すごくがっかりしました。

3つ目は、売れて稼いでいるのに、お金にならない。

——朝から深夜まで働いている割にはお給料が……ということですか?

たとえば、僕らは明治製菓というスポンサーのコマーシャルにたくさん出演させていただいたんです。

すると、チョコレートを何度も、美味しそうに食べるように指示される。OKが出るまで繰り返し撮り直しているうちに、僕らも疲れてくる。そうしたら、広告代理店の担当者から「たくさんお金を払っているのに、そんな顔はないだろう」と怒られる。

僕らは一定の給料しかもらっていないのに、何でそんなこと言われなくちゃいけないんだ、と思うようになっていきました。

大事な青春を無駄にしたくない—— それが、僕が「タイガースを辞めよう」と考え始めたいちばんのきっかけですね。

——おそらくファンは、沢田さんに次いで人気№2の瞳さんがそんな悩みを抱えているなんて気づいていなかったと思います。

1968年の月刊『明星』の表紙に僕は6回登場したんですが、沢田は4回。マネジャーの中井(国二)さんから「沢田は歌を歌う、瞳は歌わないのに人気があるのはなぜだ?」と不思議がられました。

確かに沢田は『君だけに愛を』で、「♪君だけに!」と指さした客席のファンが「ジュリー~」と大歓声を上げてくれる。僕はそんなことできませんからね。

余談ですが、60代で活動再開してから撮り下ろした「マルベル堂」のブロマイドが、タイガース時代の沢田のブロマイドの売り上げを抜いた、というのが僕の自慢です(笑)。

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