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【渡辺謙さん×柄本佑さん】「佑が見せる表情やセリフの言い方に親父さんのDNAを感じた」”謙さん”が目を細めるその理由

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恩田貴子

芝居小屋の人々から感じたエンターテインメントの力

芝居小屋という虚構の世界で物語は静かに、だが確実に真実へと近づいていく。その結末は劇場に譲るとして―。柄本さんの言葉からは作品への確かな手応えが伝わってくる。

柄本 映画を観終わった後の「爽快感」は、僕が映画に求めるすごく大きな要素なんです。物語の世界から、また日常に戻っていくときに感じる心地よさというのかな。この作品はまさに、そんな感覚があって。台本を読んだ時点である種の痛快さは感じていましたが、完成した作品を観て、より強く感じましたね。映画を観終わって外に出たとき、いつもと景色が少し変わって見える。そんな力が、この作品にはあるんじゃないかなと思っています。
 
柄本さんが語る、景色が変わって見えるほどの「爽快感」。その源はどこにあるのだろう。渡辺さんは、作中の人物たちが貫く流儀からそれをひもときながら、“俳優”という仕事へと思いをはせる。

渡辺 切った張ったで片をつけてしまえば話は早いけれど、森田座の人たちはそうじゃないんですよね。芝居小屋という“つくりもの”の世界に生きている彼らは、面白がりながら、誰も傷つけずに事を収めるにはどうしたらいいかを考え続けている。みんながそこに向かって血道を上げている熱量が、この映画の爽快感につながっているんじゃないかな。僕は演じていて、彼らのやっていることと、自分たちがやっている“俳優”という仕事が重なる瞬間があったんです。相手をねじ伏せるんじゃなく、お互いを尊重したうえで想像力を働かせ、何ができるかを考える。彼らの姿勢は、僕たち俳優の仕事とも深く重なります。突き詰めれば、それこそがエンターテインメントがもつ、最も大きな力なのではないでしょうか。

【Information】映画『木挽町のあだ討ち』

雪の降る夜、木挽町の芝居小屋「森田座」のすぐ近くで、美しい若衆・菊之助が父の仇討ちを成し遂げた。その出来事は美談として語られることとなる。1年半後、菊之助の縁者を名乗る侍・総一郎が、仇討ちの顛末を知りたいと森田座を訪れる。菊之助に関わった人々から事件の経緯を聞く中で、徐々に明らかになる事実。やがて仇討ちの裏に隠された「秘密」が浮かび上がり……。

●原作/永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮文庫)
●監督・脚本/源 孝志
●出演/柄本 佑、渡辺 謙、長尾謙杜、北村一輝 他
●2月27日(金)より全国公開
●企画協力/新潮社
●配給/東映 ●公式サイト/https://kobikicho-movie.jp
Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 Ⓒ2023 永井紗耶子/新潮社

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撮影/池田博美 
スタイリング/坂上真一(白山事務所・柄本さん)、JB(渡辺さん)
ヘア&メイク/星野加奈子(柄本さん)、倉田正樹(enfleurage・渡辺さん) 
取材・文/恩田貴子

※この記事は「ゆうゆう」2026年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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