記事ランキング マンガ 連載・特集

なぜかこの一文だけが流暢——トキの「I want to be with you」が胸に響いた【ばけばけ】第22週

公開日

更新日

田幸和歌子

「ニホン、イマス。ズットイマス!」

司之介やフミ、女中のクマ(夏目透羽)に丈と正木もみんなで大喜びだ。しかし肝心のトキだけは喜びの中複雑な表情をみせる。『フィリピン滞在記』という大きなチャンスが訪れたヘブンが、懐妊を知るとトキのために諦めて日本に残ってしまうのではないか、引き止めてしまうことになるのではないかと。「I want to be with you」――トキがなぜかこれだけは流暢に話せる一文がせつなく響く。

なぜかこの一文だけが流暢——トキの「I want to be with you」が胸に響いた【ばけばけ】第22週(画像6)

「ばけばけ」第108回より(C)NHK

なぜかこの一文だけが流暢——トキの「I want to be with you」が胸に響いた【ばけばけ】第22週(画像7)

「ばけばけ」第109回より(C)NHK

ヘブンは単身でのフィリピン行きを決意、それを二人での散歩の際に伝えようとしたところ、トキが倒れてしまう。ヘブンはあわてて病院へと連れていこうとトキをおんぶするが、トキはすでに診察済みであること、そして大きな病ではなかったことを告げたことで、ヘブンが察する。
「アカチャン? アカンボウ?」

ヘブンの背中でトキが小さくうなずく。ヘブンはトキを背負ったまま大はしゃぎだ。そして、こう告げた。
「ニホン、イマス。ズットイマス!」

ある意味ではヘブンは個人的な夢を諦めるかたちになったと言えるのかもしれない。しかしそれを上回る幸せを選んだということだ。幼いころ父に捨てられ、欠落した「家族」という関係性を求めるところがある人物だということは、トキとの結婚の際にも示されてきた。ヘブンがそう選択したことも自然である。

展開がスローペースであることが指摘されたりもするが、それぞれの登場人物が抱く思いを丁寧に積み重ねていくこと、そこを大切にしている本作だからこそ、ヘブンがポジティブに家族を選択したことが強く伝わる。キャラクターづくりの妙や思い入れが感じられる描写である。

「I want to be with you」
ここでこの言葉をもう一度言い合うふたり。ヘブンとトキ(お腹の子も)、それぞれに訪れた「アタラシ、ノ、ジンセイ。」が、ここでひとつに交わった。家族での「アタラシ、ノ、ジンセイ。」があらためて始まったのである。

なぜかこの一文だけが流暢——トキの「I want to be with you」が胸に響いた【ばけばけ】第22週(画像8)

「ばけばけ」第109回より(C)NHK

なぜかこの一文だけが流暢——トキの「I want to be with you」が胸に響いた【ばけばけ】第22週(画像9)

「ばけばけ」第109回より(C)NHK

あっという間に半年が過ぎ、フミやクマが見守る中で無事トキは出産し、新たな家族が松野家にやってきた。

大喜びの一同の中、正木が気づいたのが、戸籍の問題だ。3人が同じ戸籍に入らないと「家族」にはなれないのではないかと。

ヘブンが求め続けた「家族」という関係性。正式にそれを手にいれるべく、どう動いていくのか。新たな生命が加わった「アタラシ、ノ、ジンセイ。」はどう転がっていくのか。次なる展開が気になるところだ。

なぜかこの一文だけが流暢——トキの「I want to be with you」が胸に響いた【ばけばけ】第22週(画像10)

「ばけばけ」第110回より(C)NHK

▼あわせて読みたい▼

>>【ばけばけ】大事件はなし。でも登場人物の「暇」に共感したくなる第20週の妙 >>【ばけばけ】錦織(吉沢亮)が真実を打ち明けた理由は、「トモダチ」ヘブンを“見守る愛”を貫いた結果だった >>朝ドラ【ばけばけ】吉沢亮演じる錦織の魅力!物語最大のキーパーソンに迫る。「もし彼がいなければ…」
「アスタリフト」をたった7日試しただけでわかったこととは

「アスタリフト」をたった7日試しただけでわかったこととはPR

詳細はこちら
画面トップへ移動