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家賃6万円ワンルームからの再出発。「もう十分頑張った」と思えた日、やっと手放せたものとは?【一田憲子さん】

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一田憲子

家賃6万円ワンルームからの再出発。「もう十分頑張った」と思えた日、やっと手放せたものとは?【一田憲子さん】(画像2)

食後にちょっと甘いものが欲しくなる。スーパーで安い羊羹を買っておき、一切れカットして。(撮影/馬場わかな)

「褒められたい」とつい思っちゃったって大丈夫!

若いころ、こんな掃除だの、窓からの光だのに価値があるとは、これっぽっちも考えていませんでした。大きな成果を生み出さないと意味がない。私は何者かにならなくちゃいけない。みんなに認められる人になりたい……。そうやって意識が常に外に向いていたころには、家事や美しい暮らしの風景なんて「どうでもいいこと」だった気がします。

「人の評価など、自分でコントロールできないことに幸せを求めても不確かだ」とか「日常の中にこそささやかな幸せがある」とよくいいます。でも、いったいどうしたらそのことに気づくことができるでしょう?

若いころ、野心を抱き、自分の可能性を信じ、前進する日々は必要だと私は思います。つまり「人の目」を気にして、「褒められること」を渇望する時期もあっていいと思うのです。

むしろ、そんなジタバタする経験を積み重ねるからこそ、その対極にある「洗面所の窓から差し込む光」に心揺さぶられる朝がやってくる……。光があるからこそ影の存在に気づき、影があるからこそ光の方向を知ることができます。

もしかしたら、人生には方向を「スイッチする時期」のようなものがあるのかもしれません。今まで信じていた方向へと全速力で走っていたけれど、パチリと切り替えて、横道を入って見えてくる風景に心を向ける……。

実家の母が、私が還暦を過ぎたころから「ノリコはよくここまで頑張った」と言うようになりました。離婚して家賃6万円のワンルームマンションに引っ越し、家具がまだ買えなくて、段ボール箱を並べてたんす代わりにしていたころから、フリーライターとしてコツコツ仕事を増やし、やっと自分の本を出せるようになりました。そのジタバタをすぐ横で見守ってくれていた母に、しみじみとそう言われると、涙が出そうになります。

もがいたあのころがあったから、やっと今ご褒美のように、自宅の片隅でのひとときを「シヤワセじゃなあ〜」と思えるようになったのかもしれません。だとすれば「褒められなくちゃ意味がない」と思いこむ時期があっても、きっといいのだと思います。背伸びして、自分をいいように見せ、なのにうまくいかなくてがっかりする。その繰り返しの中で、「もう十分頑張った」と思えたら、やっと「褒められたい」を手放せるようになるのかも。

まだまだ私の場合は、日々の中でひょっこりと「褒められたい」病が顔を出します。行きつ戻りつしながら少しずつ、褒められなくてもご機嫌に歩ける道を探したいと思うこのごろです。

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※この記事は、『褒められなくても、生きられるようになりましょう』一田憲子著(主婦の友社刊)の内容を、ウェブ記事用に再編集したものです。

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