なぜ人はAIに人生相談してしまう?【池上彰が語る】“ChatGPT依存”と孤立しないためのヒント
今後、生成AIが生まれたときからあった世代にとっては、「生成AIを使わずに、周りの実在する人間とリアルな関係を作ろうよ」と言ってもぴんとこないようになるでしょう。これから、人間同士の関わり合いがどんどん減っていってしまいそうです。親切心からのおせっかいが、「ハラスメントだ」と言われるようになってしまうかもしれません。
人間が人間たる所以(ゆえん)はなんだろうか、ということを、問い直さなければいけないでしょう。
人間は社会的な動物だから、ときにはひとりで静かに過ごしたいときがあるにせよ、まったくの孤独だったら生きていけないのです。「孤独が人を殺す」という言い回しもあります。社会の中で生きていくことが、誰しもにとって必要なのです。
「AIとばっかり付き合っていないで、もっと人と関わりなさい」と言うようになる日は近そうです。
文部科学省は、学習指導要領で「生きる力」の大切さを謳っています。生きる力を身につけていくには、いろいろな面があります。身の回りのことを自分できちんとできるようになる、食事も自炊ができるようになる、金銭管理もできるようになる、なども含んでいます。
それと同時に、同年齢だけでなく異年齢の子たちともコミュニケーションを取ったり、ときにリーダーシップを取ったりすることも「生きる力」です。
昔はガキ大将がいたり、近所の子たちが異年齢で遊んだりして、リーダーシップや集団行動のルールなどが自然に身についていましたが、今は少子化や、塾・習い事の多さ、あるいは公園などの公共の場が減ったことなどで、それが難しくなりました。
その分、学校教育のあり方もまた変わりつつあります。近年は「リーダーシップ教育」が盛んで、特に女子校で人気です。
男女共学だと、どうしてもこれまでの「慣習」で男が上に立ちがちです。サークルの部長は男性で副部長が女性、などです。
しかし女子大学は、すべての役割を女性たちだけで担わなければいけないので、むしろそういうところでこそリーダーシップ、指導力がつくんだと、リーダーシップ教育に力を入れるところが今増えているのです。私が関わっている共立女子大も実践女子大も京都女子大も、力を入れています。それに伴って明らかに女子学生のリーダーシップの能力が高くなってきています。
AIがリーダーシップを取って、さまざまな人の意見を聞いてまとめる、そういうことは可能ですが、人情としては嫌な気分になることでしょう。やはりリーダーシップは人間が取るべきですし、そこにこそ人間力が必要ということです。
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