収入は6割に。それでも後悔しない––––56歳で正社員から派遣へ切り替えたブイロガー・ナツさんの決断
このとき、ナツさんは38歳。世に「ネットショップ」が少しずつでき始めた頃で、ワインのネットショップ事業に携わることになったのだ。
「なんだ、この資格が役に立ったよ、という感じで(笑)」
言葉とワインの知識を生かせる仕事は、ナツさんにとって、ようやく手にした天職。プライベートでも幾度かフランスに行き、ワイナリーを訪ねて造詣を深めるなど、公私の歯車がうまく噛み合い始めていた。ところが、その後ネットショップ業界は急拡大。ナツさんが関わる事業は淘汰の波にのまれ解散。
40代後半にしてまた路頭に迷ってしまったナツさんは、その後、IT企業や販促会社を転々とすることになる。
「常に自分と社会の折り合いのつけ方を模索していました。生活のため、生きていくため、これくらいの暮らしをするには、これくらいのお給料が必要で、と思い込んでいるところがあったし、その半面、好きなことも捨てきれず、自分を生かしていきたいという思いもあったし」
気がつくと50代半ば。その頃はEC支援会社に勤めていた。常に売り上げが問われる状況の中、複数のクライアントの改善策や企画提出、サイト制作代行を同時にこなす日々を3年ほど過ごしていたのだが、ついに心が悲鳴をあげてしまった。空が青く見えなくなってしまったのだ。「やめよう」、あっさり決断できた。
「空が青く見えないって、生きている意味がないから」
何よりも自分の感受性を守りたい。そう考えたナツさんは、正社員から派遣契約に切り替え、心が平穏でいられるよう、売り上げノルマのない事務職を選んだ。一方、収入は今までの6割に。それゆえ必然的に生活の見直しを迫られた。まず行ったのは、固定費の削減。都心から郊外の古いマンションに引っ越して、月々にかかる家賃を大幅にカット。さらに食事もほぼ自炊にし、平日の昼ごはんはお弁当に切り替えた。すると、コンビニに立ち寄ることもなくなった。
「今までは、なんとなくあれこれ買ってしまっていたけれど、決して欲しいものではなかったんだなって」
▼あわせて読みたい▼
>>熊本地震を機に「持たない暮らし」へ。apartment 301さんが捨て活で見つけた、自分に合う住まいの形 >>「がむしゃらに働くのはもう無理」50代喫茶店オーナーが始めた15分の“ひとり時間”のつくり方 >>エアコン修理に70万円!? 50代で持ち家を手放し、団地へ。住み替えを決めた理由と暮らしの工夫
自分サイズのすっきり大人暮らし
主婦の友社編 主婦の友社刊
人生後半戦、さて、どうしよう? 昔ほど体力もなくなってきたし、メンタルが不安定になることもしばしば。お財布の中身も心配だし、見渡せば、家の中も雑然としている…。でも、うまくいくことばかりじゃないけれど、しんどいことばかりでもない。だから、自分が好きなこと、もの、今、自分ができることに目を向けて。暮らしを、自分をすっきりさせたら、わたしなりの生活を営むヒントが見えてくるはず。
※詳細は下のボタンより
撮影/清永洋
※この記事は『自分サイズのすっきり大人暮らし』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。
※2024年9月19日に配信した記事を再編集しています。
