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【ガーデニング】来年も咲いてくれる多年草「ユリ」の魅力。エレガントからキュートまで

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光武俊子

エレガントで香りもよい大輪の花。ユリは切り花で楽しむものと思っていませんか? Non! Non! ユリは一度植えたら来年も咲いてくれる多年草。日本原産のものが多くて、庭やベランダで育てやすい球根植物です。あまり知られていない愛らしい原種もご紹介します。

エレガントの極み! ユリはどんな花?

ユリは北半球の温帯地域に分布する球根植物。日本にはヤマユリやササユリ、テッポウユリやオトメユリなど、15種類が自生しています。欧州にもユリはありますが、シーボルトが伝えた日本のユリはその美しさで、明治時代に欧州向け輸出の代表格にまでなったそう。

当時輸出されたのは球根です。ユリの球根は「ユリ根」として古くから食用にされ、生薬としても利用されてきました。チューリップなどより大型で、乾燥に弱いためピートモスなどに埋められて秋に販売されます。初夏には芽出し苗が鉢植えでも店頭に並びます。

日本原産のユリからはそれぞれの魅力を生かし、多くの園芸品種が誕生。代表的な系統は以下の3つ。

アジアティック・ハイブリッド(スカシユリ系):オニユリやヒメユリなどを交配。黄色やオレンジ色の反り返る花弁が特徴で、香りはない。5月下旬~6月上旬に開花。日当たりを好む。
オリエンタル・ハイブリッド(オリエンタル系):ヤマユリやカノコユリなどを交配花弁が反り返る大輪で、しべが長い。華やかで芳香がある。7月中~8月中旬に開花。‘カサブランカ’が有名。明るい半日陰を好む。
ロンギフローラム・ハイブリッド(テッポウユリ系):テッポウユリやタカサゴユリを元に交配花弁が筒状やラッパ形になり、かすかに香って白色中心。6月中~下旬に開花。日当たりを好む。

販売されている園芸品種は、どの系統かによって開花期や好む環境がわかります。
また、近年はボリュームのある八重咲き品種も登場して、人気急上昇中です。

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‘カサブランカ‘

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八重咲き品種

キュートな魅力もたっぷり! おすすめ原種ユリ7選

多くの園芸品種があるユリですが、今回はそれらの親になった原種を中心にご紹介します。

<日本の原種

強い香りと大きな花で存在感たっぷり【ヤマユリ】

本州の日陰がちの斜面などに自生します。花径20㎝にもなる大きな花は強い香りを放ち、薄暗い山林でも目立ちます。1~2mに伸びる茎先に1~10輪の花を開花。落葉樹の下などに植えつけるとよいでしょう。連作障害が出やすいため、数年ごとに植え替え

反り返る大きな花弁がふわふわと【カノコユリ】

四国や九州の一部から台湾などに分布。くるんと反り返る花弁がかわいらしく、濃いピンクや白の花に斑点が入ります。草丈1~1.5mほどで、花径約10㎝の花をおもに下向きに咲かせます。西日の当たらない明るい日陰に、堆肥腐葉土をすき込んで植えつけましょう。

鮮やかな花色が視線を引きつける【オニユリ】

日本の夏の野山でよく見られます。鮮やかなオレンジ色の花弁に斑点が入る花を、1~2mの茎にたくさん吊り下げて遠くからでも目立ちます。オニユリは葉のつけ根に、脇芽が養分を蓄えたムカゴを生じるのが特徴。庭にまくと3~4年で開花しますが、コオニユリにはできません。

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オニユリ

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キバナノコオニユリ

スターリリーと呼ばれる星形の花【ヒメユリ】

日本や朝鮮半島、中国北部などに分布。「姫百合」だけに花径は5~8㎝、草丈も30~100㎝と小ぶりです。可憐な濃いオレンジ色の花が愛されますが、自生種は絶滅危惧種に指定されています。高温多湿が苦手なので、夏に涼しい乾燥気味の場所に植えつけましょう。

ピートモスは、寒冷地の湿地に生える水ゴケが堆積し、腐食化した土のことです。酸性で無菌に近く、ブルーベリーなど酸性を好む植物の栽培に適しています。

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植え替えとは、鉢植えや地植えの植物を別の場所や容器に移して育て直す作業を指します。生長に伴って根詰まりを起こしたり、用土の養分が不足したりした場合に必要で、植物の健康を保つために欠かせない手入れのひとつです。時期としては休眠期や生長初期が適していて、新しい用土や大きな容器、広い場所に植え替えることで根の活性化を促します。根の状態を確認しながら丁寧に行うことで、再び元気に育ちやすくなります。

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植えつけとは、苗や苗木、球根などを土に植える作業のことを指します。適切な時期や深さを守ることで植物の発芽や発根が促され、順調な生育につながります。植物ごとに適した用土が望ましく、植えたあとはしっかり水やりをして根づかせることが大切です。植物の種類によって用土の種類や肥料の施し方が異なるため、事前に育て方を確認しておくと安心です。

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八重咲きとは、花びらがたくさん重なって咲く花のことです。通常の花よりも華やかでボリュームがあり、豪華な印象を与えます。バラ、ダリアなど、多くの植物に八重咲きの品種があります。

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鹿沼土とは、栃木県鹿沼市周辺で産出される火山性の軽石土です。黄褐色で粒状の形をしており、通気性と排水性に優れています。おもに山野草、盆栽、サツキ、ランなどの栽培に使われ、根腐れを防ぐ効果がある一方、保肥力はあまり高くないため、他の用土とのブレンドが一般的です。無菌性が高く、清潔な土壌としてタネまき用にも重宝されることから、園芸初心者にも扱いやすい用土の一つです。

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落葉樹とは、秋から冬にかけて葉を落とす樹木のことです。紅葉や黄葉を楽しめる種類が多く、サクラ、カエデ、イチョウ、カエデ、イチョウなどがその代表例で、ガーデニングにも人気があります。落葉することで冬場の水分消費を抑えるなど、自然界での適応力もポイントです。

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腐葉土とは、落ち葉や枯れた植物の枝などが微生物の働きによって分解され、ふかふかの土状になったものです。ガーデニングでは、土壌改良材として使用されることが多く、通気性や水はけを向上させ、植物の生長を助ける効果があります。また、有機物を豊富に含むため、植物にとって優れた栄養源となります。手作りも可能で、落ち葉を積み重ね適切に管理すると約半年~1年で完成します。庭づくりやプランター栽培にも非常に役立つ、自然の恵みを生かした便利なアイテムです。

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多年草とは、開花、結実後も枯れずに生長する植物のことを指します。一度植えると数年にわたり生育し、毎年花を咲かせます。

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培養土とは、植物を育てるために使う土のことです。数種類の土がブレンドされた市販の培養土は、通気性、保水性、排水性、養分のバランスがよく、初心者でも失敗なく植物を育てられます。植物の種類(花、野菜、多肉植物など)ごとに専用の培養土も市販されています。

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地植えとは、植物を鉢やプランターではなく庭の地面に直接植える方法のことで、根が土中に自由に広がるため株が大きく育ちやすく、水やりや肥料の持ちもよくなるといったメリットがあります。例えばバラや宿根草、樹木類などを長期間育てたい場合に適していて、植えつけの際には土壌の排水性や日当たり、風通しなどを考慮して場所を選ぶことが大切です。

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花弁とは、一般に「花びら」と呼ばれる部分で、花の中でも最も視覚的に目立つ構造です。昆虫を引き寄せるための鮮やかな色や形、香りを備えており、園芸植物ではこの花弁の特徴が観賞価値に直結します。八重咲きや一重咲きの違いも花弁の枚数に関係しており、育種や品種改良ではこの部分の改良が重点的に行われます。雨や暑さで傷みやすいため、花弁の丈夫さもガーデナーには重要なポイントです。

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脇芽とは、植物の茎と葉の間(葉のつけ根)から出てくる新しい芽のことで、腋芽(えきが)ともいいます。これを摘み取ることで主枝の生長を促すことができます。

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球根とは、植物の栄養を蓄えた地下の器官で、翌年の発芽や開花に必要なエネルギーを蓄える役割を持ちます。チューリップやヒヤシンス、ユリなどが代表的な球根植物で、秋に植えて春に咲く秋植え球根、春に植えて夏に咲く春植え球根などに分類されます。球根は植え方や植えつけ時期、水はけのよい土などの条件を整えることで、毎年美しい花を咲かせることができます。

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堆肥とは、落ち葉や草、野菜くずなどの植物性廃棄物や動物のふん尿などを発酵・分解させて作られる有機質肥料の一種です。土壌の改良や植物の育成を助ける役割があり、ガーデニングでは土の栄養補給やふかふかな土壌づくりに欠かせません。自家製の堆肥を作ることで廃棄物の再利用が可能になり、環境にも優しい方法として注目されています。発酵の過程で微生物が活躍するため、適度な湿度と空気の供給を保つことが重要です。

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品種とは、ある植物の中で、花の色や形、実の大きさなどの性質が、明らかに他の植物と異なる栽培植物のことです。園芸品種や栽培品種の略称です。

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原種とは、交配などで改良された植物の親や祖先にあたる種のことです。人間の手による品種改良や交配が行われていない、自然のままの状態で存在する野生種のことを指します。

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交配とは、異なる個体間で花粉を授受させ、種子を作らせることを指します。自然界では風や昆虫によって行われることが多く、人為的には望ましい性質を持った植物同士を選び、花粉を人工的に移すことで、新たな品種づくりや改良が行われます。例えば、花色や香りの強いバラや、実の大きなトマトなどは、長年の交配によって生まれたものです。家庭園芸でも、自家採種やオリジナル品種の作出を目指す際に、交配は魅力的な技術の一つです。

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