「悩みを手放す方法」とは? ついてない1日が清々しい1日に。枡野俊明さんに学ぶ
雨の時期はゆううつな気分になってしまう、という人は少なくないでしょう。気持ちが上がらない、仕事がうまくいかない、イライラする……。しかし、そんな沈みがちな気分をふっと上げる方法があるんです。生活の中に禅的なものを取り入れて、穏やかに過ごす方法をまとめたのが、枡野俊明さんの新刊『悩みを手放す21の方法』(主婦の友社)です。同書から全4回に分けてご紹介します。
自分らしく生きたい——そう思っていても、うまくいかない日もあります。もしかしたら、うまくいかない日ばかりかも……。
そんなときに手助けになるのが「禅」の考え方だといいます。
「禅では、心を整えて穏やかな状態を保ち、人の言動に惑わされない本来の自分を見つけ出すことを目指しています」
心を整えるためには、行動から入るのがよいとアドバイスされています。
そのひとつが「朝の掃除」をすること。
なぜ、朝、掃除することがよいのか。書籍からひもといてみましょう。
「今日はついていない」その原因は朝にあります
「今日はいい一日だった」と満足できる日と「すべてがうまくいかなかった」とうんざりしてしまう日があります。その違いはどこにあるのかというと、朝にあります。
たとえば「今日はついていない一日だった」という日がありますね。忘れ物をしたり、 人とトラブルになったり、なんだかイライラしたり。そんな日こそ、朝の自分を振り返ってみましょう。寝坊してギリギリに家を出ていませんか? 遅れた時間を取り戻そうとあせり、それが別の失敗につながってはいないでしょうか。
一方で朝に時間の余裕があると、朝食もゆったりとれて、脳も活発に働くはずです。 すっきりとした頭で新聞やニュースに目を通すと、新しい発見やアイデアが生まれやすくなります。一日がスムーズに進み、思わぬ成果が得られるかもしれません。
そのためにも、早起きは欠かせません。今より30分早く起きてみましょう。その分をどのように使うかで、生活は劇的に変化するはずです。
私からの提案は、早起きして手に入れた30分のうち、10分を掃除に使ってほしいということです。
禅には「一掃除、二信心」という言葉があります。言葉のとおり、「まずすべきことは掃除であり、信心はそれがすんでからのこと」という意味です。「坐禅やお経より、掃除のほうが大事なのですか?」と驚かれることがありますが、はい、そのとおりです。
心を整えるためには体から、体を整えるためには形から整えていく必要があります。室内がきれいに整理整頓され、ほこりやちりのない状態になっていれば、おのずから心も整頓されてすっきりした状態になるものです。誰だって散らかった部屋にいるよりは、きれいに整った部屋にいるほうが気持ちよいと感じるはずです。そう、環境と心は直結しているのです。
特に朝は、心を整えることが重要です。早く起きた分で家の中のどこかを掃除しましょう。そんなにたくさんはできませんから、月曜日は玄関、火曜日はガスコンロ、水曜日はトイレ......そんなふうに回していくと、きれいな状態を維持することができると思います。休日にまとめて掃除する必要もなくなりますし、常にすがすがしい気持ちで一日を始めることができるはずです。
掃除をするのは朝食の前がいいでしょう。ほこりやちりは夜のうちに降り積もるので、起きてすぐに掃除をするほうが理にかなってもいるのです。とはいえ、「汚れが目立ってきたから掃除しよう」とか、「ほこりがないから今日は掃除しなくていいや」などとは考えないでください。磨いているのは自分の心。汚れがなくても磨きあげるのです。
<キーワード>
一掃除、二信心
(いちそうじ、にしんじん)
まずすべきことは掃除であり、信心はそのあとでよいという意味の禅語。禅では、掃除が何にもまして重要なもの。掃除によってちりを払い、床を磨きあげることで、心も曇りなく磨きあげられると考えられている。