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[後編]青木さやかさん50歳。「亡くなる前の3カ月で嫌いだった母とようやく仲直りできた」

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ゆうゆう編集部

女優、タレント、エッセイストなど、幅広いフィールドで活躍中の青木さやかさん。実は長年、母親との確執に悩み続けていました。転機となったのは、母が末期がんでホスピスに入ったこと。「母が嫌い」だった青木さんが、がむしゃらに母と向き合った末に見いだしたものとは――。

こちらもあわせてどうぞ。 青木さやかさん50歳。「亡くなる前の3カ月で嫌いだった母とようやく仲直りできた」[前編]

PROFILE
青木さやかさん/女優・タレント

あおき・さやか●1973年、愛知県生まれ。
大学卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントの道へ。「どこ見てんのよ!」のネタでバラエティ番組でブレイクを果たす。現在はドラマや舞台などでも活躍中。
著書に『母』(中央公論新社)、『母が嫌いだったわたしが母になった』(KADOKAWA)など。

『50歳。はじまりの音しか聞こえない 青木さやかの「反省道」』

青木さやか/著 世界文化社 1760円

バツイチ、シングルマザー、がんサバイバーでパニック症も抱える青木さんが、等身大の自分を赤裸々に綴ったエッセイ集。50歳目前での失恋、マッチングアプリ、お見合い、断捨離……。悩み、葛藤、反省は多々あれど、前を向いて歩む姿に人生のヒントがいっぱい。

いつの間にか母が嫌いではなくなっていた

ちょうどその頃、青木さんも病と向き合っていた。自身に肺がんが見つかったのだ。2012年に離婚し、シングルマザーに。手術を受けたものの、がんが再発したらどうしよう、娘はどうなるのか、仕事は、親との関係は……不安は尽きなかった。

「もう本当に八方ふさがり。親との関係も健康面もうまくいっていなかったから、何とかして人生を大きく変えたいと思いました。だから一番チャレンジしたくないこと――母との関係修復にチャレンジしようと考えたんだと思います」

愛知県の外れにあるホスピスまで車で通った。母が亡くなるまでの3カ月間、何度も。

「やっぱり好きではない人だから、向かうときは『嫌だ』『苦しい』『もう行きたくない』と、総毛立つような思いに。それでも、『うまくいかない自分を、人生を変えるんだ』という気持ちで母に会いに行きました。初日は決意表明として、母に『私はいい子じゃなかった。ごめんなさい』と謝るところからスタート。そのあとは『今日は娘のテストを見せよう』『今日はむくんだ足をマッサージしてあげよう』と、毎回自分にミッションを課しながら通いました」

青木さんにとって簡単なことではなかったが、通い続けるうちに少しずつふたりの間の空気感が変わっていくのを感じた。

「嫌いな人とは同じ空間にいるのもキツい。最初の頃は10分くらいで帰っていたのですが、徐々にふたりでいるのに慣れてきて、何時間か一緒にいられるようになっていきました。私が訪ねる日はカレンダーに印がつけてあったり、ホスピスの看護師さんから『今日は娘が来ると教えてくれましたよ』と聞いたりして、母は私が来るのをずっと待っていたということもよくわかりました」

過去を思い出してはイライラし、そんな自分を反省しては気持ちを立て直す。階段を2段上っては1段下がるように、少しずつ前へ進んだ。

「何事もそうですが、結果ってあとからついてくるんですよね。がむしゃらに母と向き合っているときは感じませんでしたが、いつの間にか母が嫌いじゃなくなっていました」

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