【大奥】相手の懐に潜り込む才を持つ家茂(志田彩良)らしさが光った。公家男子の装束で上洛した結果は?
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田幸和歌子
江戸時代の男女逆転の世界が描かれる、NHKドラマ10「大奥」のシーズン2も、豪華キャストからも目が離せません。シーズン1に引き続き、数々のドラマレビューを執筆するライター田幸和歌子さんに語っていただきます。
※ネタバレにご注意ください
★前回はこちら★
【大奥】和宮(岸井ゆきの)の意味深な笑みの真実はいかに。原作再現度の高さに注目が集まる
男女逆転の江戸パラレルワールドを描いた、よしながふみの人気漫画『大奥』を原作に据えたドラマ10『大奥Season2』の第9話が11月28日に放送された。
公武合体のために迎え入れた和宮は替え玉の女性であった。事情を聴いた瀧山(古川雄大)は憤慨するが、家茂(志田彩良)は、間者ならばせめて男子を送るのでは?と冷静に受け止める。
どうやら、本物の和宮はどうしても江戸に下るのが嫌で、首をくくってしまっており、その実の姉(岸井ゆきの)が和宮として参ったのだという。
和宮の姉は、生まれつき左手がなかったことから人前に出さずに育ててきたと、和宮の母・観行院(平岩紙)が説明する。御門(山村紅葉)は、替え玉を用意した自分たちをお手打ちにするかと迫ったが、家茂は宮様が女性であることを固く秘すと宣言する。
友好的に接しようとする家茂に対して、なかなか心を開こうとしない宮様。そんな中、宮様が食事を好むと聞きつけた家茂は、カステラを用意する。
初めのうちは「真っ黄っ黄で薄気味悪い」と文句をつけていた宮様だったが、一口食べた途端目を丸くし、美味しさに静かに驚嘆する。
その場では「こんなん花びら餅に比べたら味ないわ」とつれなく返す宮様であったが、お土産にカステラをもらうとすぐさま満面の笑みで観行院と土御門の元へ。母を喜ばせたい、その一心であったにも関わらず、観行院は「本当の宮さんに食べさせてあげたかった」と俯くばかり。そんな母を見つめる宮様の表情は何とも切ない。
後日、宮様は家茂にとあるお願いをする。それは、京に帰りたがる観行院を慰めるために金魚を用意することだった。
日頃のつっけんどんな態度とは裏腹に、母にだけは甘えて見せる宮様は、さながら幼い子どものようだ。
一方、将軍後見職に就任した慶喜(大東駿介)が家茂に、一向に攘夷をしない幕府にお怒りの帝のご機嫌取りのため、上洛しろと言い出す。
上洛を決めた家茂は宮様に本当の名前を訪ねる。このままでは何か起こった際、宮様はただの和宮の偽物となってしまう。しかし、帝の妹宮だと認めてもらえれば、丁重な扱いを期待できるからだと、その理由を説明する。
なんで自分のためにそこまでと不思議に思う宮様に対し、宮様が江戸に来てくれたおかげでなんとか徳川は公武合体の体裁を保てていると言う家茂。家茂の心遣いに心打たれたのか、宮様は本物の和宮がまだ生きていることを告白する。