【大奥2】完。この上ない絶望的な展開の合間に見える、希望に満ちた将来を夢見させてくれた
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田幸和歌子
江戸時代の男女逆転の世界が描かれる、NHKドラマ10「大奥」のシーズン2が、ついに最終回を迎えました。シーズン1に引き続き、数々のドラマレビューを執筆するライター田幸和歌子さんに語っていただきます。
※ネタバレにご注意ください
★前回はこちら★
【大奥】「大奥に帰りたい」と言い残した家茂(志田彩良)の無念。煌びやかな打掛を羽織る親子(岸井ゆきの)が切ない
家茂(志田彩良)が志半ばで亡くなり、その後継となったのは慶喜(大東俊介)であった。江戸では大政奉還が行われるが、新政府軍を率いる西郷隆盛(原田泰造)によって、攻め入られようとしていた。
そんな中、大阪城で戦っているはずの慶喜は完全に戦を放棄。私利私欲のために戦を始め、挙げ句投げ出した慶喜の尻拭いをさせられたのは、勝海舟(味方良介)や天璋院(福士蒼汰)、そして親子(岸井ゆきの)だった。
徳川にとって厳しい講和の条件が、西郷から突きつけられる。そこで、勝は“江戸の町を焼き払う”ことを提案。薩摩が本当に求めているのは、百万の民を有する江戸の町であり、その町を燃やすとなれば薩摩も黙っていないだろうとのこと。
後日、西郷との交渉の場が設けられる。西郷は、徳川が女を将軍に据えていたことは恥ずべきこと、そして徳川が消えることによってこの国は生まれ変われると、主張するのだった。
そのやりとりを聞いていた親子は、帝が書き遺した手紙を突きつける。そこには、「謀反人は岩倉と薩摩」と記されていた。
この手紙を公にすると脅しをかける親子。すると西郷は、歴代の女将軍が皆男だったことにすれば徳川の歴史は恥ずべきものではなくなり、慶喜を殺す必要もなくなると返す。
しかし、親子はこう続ける。
「列強の町にも劣らへんというこの町は、あんたが恥ずかしい言うた女将軍のお膝元で、その町の女らが育ててきたんやで」
こうして、江戸への総攻撃は免れ、無血開城が決定したのだった。
最後の宴を終え、怒涛の大掃除が始まる。長かった徳川の、そして大奥の歴史が幕を閉じる時が近付いている。
そんな中、瀧山(古川雄大)と天璋院は没日録を読んでいた。
大奥の始まりを築いたお万の方は、このような大奥の終わりをどう思うか。2人は空想する。
「存外お喜びかもしれませぬ。このような哀しい場所がなくなることを誰よりも望んでいらっしゃったのは、お万の方様かもしれませぬ」
そう呟く瀧山に、天璋院はこう問いかける。
「悲しみばかりであったか、そなたにとって大奥は」
瀧山の脳裏に様々な出来事が思い出される。この上ない喜びも、出口の見えぬ悲しみも、大奥で起こった全てが忘れられぬものだった。
そうして、別れの時がやってきた。涙を流してしまうかもしれないので見送りはしたくないと言う瀧山を残し、天璋院は大奥を去っていく。
しかしその直後、天璋院は嫌な予感に駆られ、後を引き返す。すると、その予感は的中。瀧山は一人、自害しようとしていた。